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2017年5月13日 (土)

よくある・ユーモア短編集-17- とんだ迷惑

 世の中には思ってもいない危害を他人から受ける場合がある。何かかかわりがあったのか・・と、よく考えてみても思い当たる節(ふし)がないという場合だ。例(たと)えば、連休の高速道路の渋滞などだが、こんな場合はまだよい方で、飛行機で帰った方が早い・・と即断したお蔭で、思いもよらぬ墜落事故に巻き込まれ、一命を落とす・・などという最悪のケースがある。この場合は、迷惑どころの話ではない。迷惑を受けた…と思う人はすでにこの世の者ではなく、あの世で恨(うら)めしく、乗るんじゃなかった! と歯ぎしりしているくらいのもので、遺族が涙・・泪の記者会見で泣きじゃくる迷惑なのである。まあ、とんだ迷惑も、災い転じて福となす・・といったケースも当然あり、ぶつかって怪我をした男女二人にそれが縁で恋が芽生え、晴れてゴールイン! といったおめでた話に発展する場合もあるのだ。
「チェ! また、ハズれたぜ…」
 売れ残った食品を食べ、競馬場で急に腹具合が悪くなり、トイレに行っている間に買った馬券のレースを見逃した・・と早とちりした初老の男が、競馬新聞を見ながら口惜しがって舌打ちした。
「えっ? それは前のレースですよ。今の重賞は、もう確定が出ます」
 知らない競馬客に耳打ちされたその男は、ああそうか…と思いながら、電光掲示板を見た。すると、見事に予想が当たっていたということがある。売れ残った食品を食べたのは、保健所に…と思うくらいのとんだ大迷惑だが、それを帳消しにする高額配当を当てた結果とを差し引きすれば、まあまあなのかも知れない。まあ、結果の腹具合にもよるが、床に就く、入院・・といった結果なら、やはりとんだ迷惑ということになる。
「いい国ですよ、この国は…今の平和を皆さん、大事にしないと…」
 終戦記念日で100歳のご高齢を迎えられた一人のお年寄りがテレビ画面でインタビューの質問に答える映像が映っている。国民は軍部の横暴で300万以上の死者を出すという、とんだ迷惑を被(こうむ)った訳だが、その結果、敗戦によって世界に冠たる平和を得た・・という皮肉な恩恵もある訳だ。まあ、昨今は薄らぎつつあるようだが、人間が、とんだ迷惑を時の流れで忘れていく・・ということは、よくある。

                          完

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