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2017年10月23日 (月)

思わず笑える短編集-80- けんもほろろ

 すること成すこと、都合よく遇(あしら)われることを、けんもほろろ・・という。本人にはムカつく話だが、受けるダメージの違いは人それぞれだ。しかし、追い込まれていることには変わりがない。
「鋸竹(のこたけ)さん、どうでした?」
「これは、山蕗(やまぶき)さん。私なんか、まったく相手にされてない。けんもほろろでしたよ。ああっ! もう、ダメだっ!」
「まあまあ…。あなたに始まったこっちゃない。私だって、いや、他の誰が乗り込んだって、煮汁(にじる)さんには、けんもほろろなんですから…」
「あと、ひと月ですよ。なにか言い手立てはないんでしょうか」
「雉(きじ)にケンケン、ホロホロと鳴かれなきゃ言い訳ですから、鳳凰で行きましょう!」
「あの…どういうことでしょう?」
 鋸竹は意味が理解できず、訝(いぶか)しそうに山蕗を見た。
「へへへ…これですよっ!」
 山蕗は片手の親指と人さし指で丸を作った。
「金ですか?」
「そうそう、ここは会社がドカン! と、出すべきです」
「でも、なぜ金が、けんもほろろ・・を?」
「ははは…そりゃあなた。一万円札の裏の違いですよ」
 旧札の裏は雉が描かれ、今の新札は鳳凰だと鋸竹が気づかされたのは、そのときだった。けんもほろろに効果があるのは、全(すべ)てではないが、やはり金のようだ。

                             完

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