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2017年10月29日 (日)

思わず笑える短編集-86- 適材適所

 人や物を使う場合、その価値を知り適材適所に配置したり使い熟(こな)せば、より便利になったり効果が現れることは当然だ。そのため、物の場合は分別したり道具を使い分け、人の場合は人事考課[働く職員、社員、工員などの能力の最大効果となる適正な人事配置]をするのである。
「豆岡君、君は知恵の輪を器用にするな…」
 昼休みにデスク椅子で知恵の輪をする豆岡を見て、課長の平崎が歯を楊枝(ようじ)でシーハーシーハーとさせながら感心したように言った。手先が器用だな…と、暗に言ったのだ。
「ははは…課長。これくらいは馴(な)れれば誰でもやりますよ」
 豆岡は謙遜(けんそん)して言った。
「いやいやいや、俺には出来そうにないぞ…」
 平崎はそう言いながら、人事考課をしていたのである。内心では、『こいつは、技術に異動させた方が役立つぞ…人事係長に言っておこう』と思っていた。そんなこととは露(つゆ)ほども知らない豆岡は、得意そうに早くも輪を解(ほど)いて平岡の前へ突き出した。
「お見事っ!」
「いやぁ~それほどでも…」
「ははは…これくらい、仕事が出来ればいいんだがな」
 平崎はダメ出しすることも忘れなかった。
「いやぁ~」
 豆岡は照れて頭を掻きながら、『この人は、この課より営業の方が向いてるな…人事課長の田山に言っておこう』と、内心で思っていた。豆岡と田山は同期だった。

                           完

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