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2018年5月14日 (月)

隠れたユーモア短編集-83- 風の吹きよう

 しようとした物事が乱(みだ)れを生じるには、何らかの隠れた原因がある。その原因は、当の本人には見えないから始末(しまつ)が悪い。こうした乱れを生じる悪い場合の隠れた原因を隙間(すきま)風・・と世間では言う。もちろん、この逆の場合も当然ある。世間ではこれをトントン拍子(びょうし)・・と言うが、どちらも見えない風の吹きよう次第・・ということになるだろう。
「これで準備は、すべて整(ととの)ったが…」
「あとは、お天気次第ですね…」
 とある町の運動会が明日、開かれようとしていた。実行委員長の焼魚(やきうお)と副委員長の刺身(さしみ)の二人は、灰色の雲に覆(おお)われた空を見ながら、心配そうに話し合っていた。
「まっ! なるようになるさ…。天気予報はどう言ってた?」
「次第に回復するでしょう・・とか、なんとか」
「でしょう・・は、いいよな、ははは…」
「そこは、です! と断定してもらいたいですよね、ははは…」
「まあ、風の吹きよう次第ってとこか」
「ですね。風は人の動きを見て吹いてるんですかね…」
「かも知れんな。と、すれば、やるだけのことはやったんだから、ひとまず安心とするか…」
「はいっ!」
 雲を吹き飛ばす風は、人の動きを見て吹いているのかも知れない

        
                   完

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