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2018年6月19日 (火)

逆転ユーモア短編集-19- 人生

 人生は人それぞれで、どの人生を例にとってみても、どれ一つとして同じ人生はない。加えて、いい人生だ…と思った途端、逆転の憂(う)き目に合い、散々なラストとなる場合だってある。このように、人生は死ぬ間際まで分からない、大ドンデン返しを秘めた長編ドラマともいえる。
「鋤川(すきかわ)さんは、いいですよ。あなたは飛ぶ鳥を落とす勢いなんですから・・」
「そう言う鍬野(くわの)さんだって」
「いやいや、私は落ちた鳥が慌(あわ)てて飛び去るような男ですから」
「ははは…上手(うま)いこと言われますなぁ~」
 そんな二人だったが、数年後の出会いは惨(みじ)めだった。
「鋤川さんじゃ?」
「いや、誰かの間違いでしょう。私はそういうもんじゃ」
「いいえ、あなたは鋤川さんだ! 間違いないっ!」
「ああ! あなたは鍬野さん!」
 二人はホームレスが屯(たむろ)する廃校となった校舎の片隅でダンポールを敷き、座っていた。二人の人生は逆転したのである。襤褸(ぼろ)に身を纏(まと)い、二人は寂(さび)しげに笑った。
「落ちましたな、お互いに…」
「そうですな…。それじゃ、お元気で」
「はあ、あなたも…」
 二人は罰(ばつ)悪く分かれ、また、十数年の歳月が過ぎ去っていった。次に二人が出会ったのは、大物の経営者達が集(つど)うパーティ会場だった。
「おっ! これは、鋤川さんっ!」
「おお、鍬野さんでしたか」
 二人はカクテル・グラスを軽く合わせ、乾杯した。
 「ほっほっほっ… お互い、また飛びましたなっ!」
「よかったよかった! あなたも飛びましたか?!」 
 二人の人生はドロ~ンと回転して、再逆転したのである。この先、二人がどういう結末を迎えるかは分からないが、人生には逆転が付きもの・・とは言えそうだ。

        
                   完

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