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2018年6月 8日 (金)

逆転ユーモア短編集-8- やるか、やらないか

 やるなら、やる! と徹底してやる方がいいに越したことはない。だが、やった方がすべていいのか? といえば、そうでもない。逆転した発想で、何もやらない方がスムースにコトが運んだり、いい場合だってあるのだ。
「危なかったよっ! 便を遅らせたんだ。お蔭(かげ)で命拾いしたよ。…ああ、そうだ。ははは…」
 これは飛行場から携帯で家族へ電話をかけるある男の会話である。この男は、海外出張で中東のさる支社へ出向するため渡航しようとしていたのだ。ところが、飛行場へ向かう途中、予期せぬ道路の大渋滞に巻き込まれ、延着したのだった。男が乗る予定だった飛行機はエンジントラブルで墜落、乗員乗客は全員死亡という凄(すさ)まじい
大惨事になったのである。このケースはやろうとしていた男を幸運がやらせなかった訳だが、徹底してやれる状況なら男は祭壇の黒枠写真で焼香されていたことだろう。
 また、こんなケースだってある。
「雲ひとつない快晴ですよ。やらないんですかっ?}
「ははは…あんたには分からない。私の勘では、もう降ってますよっ!」
「そんな馬鹿なっ!!」
 信じてもらえない男だったが、自分を信じ、徹底してやらなかったお蔭で救われた。二時間後、空模様は急変し、俄(にわ)かに逆転して大粒の雨が降り出したのである

         
                   完

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