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2018年6月24日 (日)

逆転ユーモア短編集-24- 動かぬが花

 なにをやっても上手(うま)くいかないときがある。八方(はっぽう)塞(ふさ)がり、手止(てど)まり、打つ手なし・・などと言われる状態だ。こういうときは、しよう! と杭(くい)を出しても、目に見えない何ものかの力で打たれる ━ 出る杭は打たれる ━ 状態に陥(おちい)るだけだから無駄である。ここは逆転の発想で、ジィ~~っと動かずに冷静に考え、慌(あわ)てず騒(さわ)がず、間違いがない実現可能な[先を見定める]という方策がいい。
 夕方の閉店間近い、とある店先である。一人の客がゆったりと店に入ろうとしたとき、バタバタと息を切らせ、後ろから近づく男が声をかけた。
「やあ、物安(ものやす)さん! あなたは、いいですねっ!」
「ああ! これは高値(たかね)さんじゃないですかっ! お久しぶりです。で、いいとは?」
「いやぁ~、あなたはいつも落ち着いておられ、慌てられたところを見たことがない・・ってことですよ」
「ははは…そんな訳がない。早く動いていいことがあった試(ため)しがないからです。いわば、諦(あきら)めの境地(きょうち)で、動かぬが花・・を決め込んでるだけです」
「なんだ、そういうことでしたか。ははは…私はてっきり、そういう方だと思ってたもので…」
「ははは…何が起ころうと動じない、そんな性格ならいいんでしょうが…」
 二人が、[動かぬが花]問答を続けている内に店は閉店のシャッターを下ろし始めた。そこは急いで動かないと、[動かぬが花]では買物ができない

        
                   完

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