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2018年6月14日 (木)

逆転ユーモア短編集-14- 駄目(ダメ)ではない

 予定どおりいくだろう…と気軽に買物に出た軽頭(かるず)だったが、そうは思うに任せなかった。買物から帰り、さて調理しようと思っていると、レシピに書かれた材料が違ったのである。いや、いやいやいや…当然、鯖(さば)だろう・・と気軽に考えたのがいけなかったのだ。レシピには鯵(アジ)と書かれていたのである。迂闊(うかつ)にも軽頭はその部分を見落としていたのだ。軽頭は自分の名誉のために見落としていた・・と誰もいないのに見栄を張ったのだが、要は見損じたのだ。さて、これから・・となると、すでに時間的な余裕はなく、仕方ないな…と買い間違えた鯖で調理をし始めた。逆転の発想でいけば、同じ魚なのだから、多少の味の違いこそあれ、まあそれなりに調理できるはずだ…と軽頭は考えた。それに、逆転して今までになかった味になるかも知れない…とも思えた。
 調理を始めて小1時間が経(た)った。おたまでスープを小皿に入れて味見すると、ウワッ! という不味(まず)い味だった。やはり鯖ではダメだったかっ! と軽頭は一瞬、諦(あきら)めかけた。そのときである。軽頭の脳裏(のうり)に、いや、いやいやいや…まだ、手はあるはずだっ! という不屈(ふくつ)の負けじ魂(だましい)が頭を擡(もた)げた。軽頭は、いろいろと調味料を駆使して奮闘(ふんとう)した。するとっ! ついに、逆転の旨味(うまみ)がでたのである。すでに調理を始めて3時間が経過しようとしていた。それでも、今までにない味が完成したのである。加えて、腹もいい塩梅(あんばい)に空(す)いているではないか。軽頭は遅蒔(おそま)きながら、久しぶりの美味(おい)しい夕食を味わって満足した

         
                   完

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