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2018年9月 5日 (水)

逆転ユーモア短編集-97- さりげなく生きる

 激しく生きるより、さりげなく生きる方が生きやすい。そればかりか、物事が進む成りゆきを冷静に見て、自分が進む方向をプラスに修正し、正しく判断できるという逆転効用もあるから不思議だ。激しい生き方は効果があるようで反動も食らいやすいから、結果的に生きにくくなる場合だってあるのだ。いわば温泉の薬湯に似ていて、効果は大きいが、そういつも温泉に浸(つ)かる訳にはいかないから場当たり的な効果だし、悪くすればアレルギーを起こす危険性だってある訳だ。そこへいくと家庭風呂は、好きなときに入れる上に、アレルギーを起こす心配もないから、さりげなく生きる生き方と似ている。
 とある高校の廊下である。テスト結果の得点順ランキングが、ベスト10まで掲示板に張り出されている。
「いい成績だな、あいつ?」
「まあ、一夜漬けなら成績もいいさ…」
「お前、あいつのこと、よく知ってるなっ」
「そうじやないさ、ヤツがそう言ってたからな」
「なんだ、そうか…」
「俺もお前も、さりげなく生きる方だからな…」
「まあ、よく言えばな。悪く言やぁ~、二人とも鳴かず飛ばずだっ、ははは…」
「そうだな、ここに張られたことねぇ~もんな。ははは…」
 数ヵ月後、さりげなく学習し続けた二人は大学へ合格し、進学した。一夜漬けの生徒は予備校へ通うことになった。
 さりげなく生きることは激しく生きるより効果があった・・という一例だ。

          
                  完

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