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2018年11月 2日 (金)

泣けるユーモア短編集-55- 世の中

 世の中では不思議な現象が平然と起こる。正解が必ずしも正解とはならないのだ。だから怖(こわ)いし、実に恐(おそ)ろしい・・というのが世の中ということになる。ただ、そうかといって世の中が不正解でよくなるのか? といえば、決してそうではない。当然、少しずつ悪くなっていく・・と言った方がいいだろう。要は、ぅぅぅ…と泣ける暮らしにくい世の中になるということである。今の世の中である。^^
 退職後、しがない年金暮らしをする年齢となった、とある二人の凡人の会話である。
「年金が満額もらえる年になって喜んでたらさぁ~、泣ける破目(はめ)になったよ」
「増えただろ? 泣ける訳がない」
「それが泣けるんだよ、ぅぅぅ…とな」
「なぜだっ?」
「増えた以上に介護保険料を取られる」
「ああ、アレか…。アレは泣ける」
「だろ? 結果、満額もらえる年までの方が多かったって訳さ」
「可処分(かしょぶん)ってやつだな」
「そう、ソレっ! カショ、カショ! 国も、強(したた)かだ」
「まあ、カショが気にならない水準で暮らせる人には関係ない話だがな」
「そういうランクの人が暮らす世界は、世の中・・って言わないんじゃないか?」
「ははは…天上(てんじょう)の人々か?」
「天上までは無理でも、せめて五合目くらいは俺達も登りたいものだな」
「ああ…」
 世の中は天上まで登れない凡人以下が、ぅぅぅ泣ける世界なのである。

         
                   完

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