« 泣けるユーモア短編集-85- 劇的 | トップページ | 泣けるユーモア短編集-87- 当選 »

2018年12月 3日 (月)

泣けるユーモア短編集-86- 雨(あま)寄る

 全天(ぜんてん)俄(にわ)かに、掻(か)き曇(くも)り・・などと言えば、今にも空から大粒(おおつぶ)の雨が降ってきそうな雲行きが想定されるが、それと、ザァ~~っと雨が降ることとは大きな違いがある。前者を人々は雨(あま)寄る・・と言う。雨寄ると、その先がどうなるかを見定めなければ、当然、濡(ぬ)れ鼠(ねずみ)となり、ぅぅぅ…と泣けることになる。
 新調(しんちょう)した背広に身を正し、家を出た月鍋(つきなべ)は、意気健康に会社へ車で向かった。。駐車場は会社から徒歩、十分ばかり離れた所にあった。これもジョギングがわりだっ! と、月鍋は健康保持を建前(たてまえ)に、駐車場を歩いて往復していた。
 その日は朝から雨寄っていた。月鍋はそう深くも考えず、まあ、大丈夫だろう…ぐらいの軽い気持だったから、雨傘(あまがさ)は持って出なかった。それが大きな凡(ぼん)ミスになったのだが、そのときの月鍋は、一人のアホに過ぎず、思慮(しりょ)に欠(か)けた。その結果、会社まであと5分ばかりのところでザァ~~ときて、ぅぅぅ…と泣けることになったのである。
 雨寄ると雨が降るとは大きな違いがあるから、泣けることにならないよう油断しないことが肝要(かんよう)だ。

          
                   完

 ※ 濡れ防止の方法として、雨宿り、タクシー、携帯で会社へ連絡などの手法はなかったのか? という素朴な疑問は生まれますが、月鍋さんは、ただのアホだったので、思い浮かばなかったのでしょう。^^

|

« 泣けるユーモア短編集-85- 劇的 | トップページ | 泣けるユーモア短編集-87- 当選 »