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2019年1月 1日 (火)

暮らしのユーモア短編集-15- ぞんざい

 ぞんざい・・とは、いい加減なコトの処理に対して叱(しか)る意味で遣(つか)われる言葉である。大雑把(おおざっぱ)もこれに近い表現方法となる。これが程よくぞんざいな場合だと、大まか・・へと変化する。今の時代なら、ザックリなどと言われ、よい意味へ化(ば)けるのだから日本語は不思議で怖(こわ)い。
 とある市役所で市街化計画の策定作業が大詰めを迎えている。町の景観を大きく変化させるもので、A案~C案の3プランが最終プランとして残り、建設部・都市計画課・市街化プロジェクトチームはその決定に苦慮(くりょ)していた。
「君はそう言うがね。B案はダメだよ、B案はっ!! ぞんざい、だよっ!」
「課長はそう言われますがねっ!! 私はザックリした、いい案だと思ってるんですっ!」
 課長補佐の肘机(ひじき)が課長の弘薄(ひろうす)にイチャモンをつけた。ここは言わないとっ! と、意を決しての反発である。
「私がダメだと言っとるんだから、ダメなんだよっ! 大雑把過ぎるよっ! ぞんざい、ぞんざいっ!!」
「すると課長は、どうしてもA案が最善だとおっしゃる訳ですねっ!!」
 肘机も少し意固地(いこじ)になってきた。
「ああ、当然だっ!」
 そこへ割って入らなくてもいいのに割って入ったのが係長の煮漬(につけ)である。
「まあまあ、お二方(ふたかた)。ここは、私のC案で手を打たれてはどうかと…」
 次の瞬間、弘薄も肘机も異口同音(いくどうおん)に口走った。
「ぞんざい、ぞんざいっ!!」「ぞんざい、ぞんざいっ!!」
 煮漬は、いらんことを言った…と自省(じせい)して押し黙り、身を小さくした。煮
自身が、ぞんざいな存在になってしまったのである。

         
                   完

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