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2019年3月10日 (日)

暮らしのユーモア短編集-83- 曇(どん)よりした日

 晴れる日、曇る日、雨の日、嵐の日・・と、日々は流れていくが、なんとも曖昧(あいまい)なのが曇(どん)よりした日である。ぱきつかない・・というか、中途半端な日で、降るのか降らないのか、それとも晴れるのか、はっきりしろっ! …と、気の短い人なら思わず空に向って愚痴(ぐち)る日、それが灰色の雲が全天(ぜんてん)を覆(おお)い尽(つ)くす曇よりした日なのだ。何もこの曇(どん)よりした日は、報道される気象上の天候だけを指(さ)すのではない。私達が暮らす日常でも絶えず渦巻いている事象なのである。過去の政治史で使われた[灰色高官]もその一例だろう。ただ、今は? と訊(たず)ねられても、私は中央政界の諸事情には疎(うと)いので、ニャゴらずワン! とも言わないことにしたい。^^
 薄墨色(うすずみいろ)の空で覆われた空を見上げながら、とある一人の主婦が洗濯物を干(ほ)す場所で迷っている。
「軒(のき)に干した方がいいかしらっ?」
 そこへ現れなくてもいいのに現れたのが、欠伸(あくび)をしながらボリボリと首筋(くびすじ)を掻(か)く主人である。
「外でもいいんじゃないか…」
 主婦としては委員長への越権行為にも等しく、大きなお世話な訳だ。それに、人ごとのような物言いが、なんとも腹立たしい。
「そんなこと、分かんないじゃないっ!!」
 ここは強く出ないと…と、主婦は強行採決に打って出た
「いや、大丈夫だって! この空は降らんっ! 俺の長年の勘(かん)だっ!」
 主人は強行採決を阻止(そし)しようと意固地(いこじ)になり、恰(あたか)も主婦を取り囲むかのように反論する。
「まあ、いいわっ! でも、降ったときはあなたが責任とってねっ!」
 主婦は付帯決議付きで議案を通過させた・・のではなく、洗濯物を軒へ干し始めた。
 二時間後である。主人は激しく降り始めた空を恨(うら)めしげに見上げながら洗濯機を回していた。
 曇よりした日は、やはり油断がならないのである。^^

     
                        完

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