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2019年3月17日 (日)

暮らしのユーモア短編集-90- いよいよっ!

 楽しみにしている人にとって、コトが刻々(こくこく)と迫(せま)ってきたとき、いよいよっ! とウキウキするものだ。私はウキウキなどしないっ! と思われる方も、そこはそれ、我慢をしてお聞きいただきたい。
 いよいよっ! と感じる期待(きたい)感の度合いは当然のことながら人によって異(こと)なる。ある人は心臓の鼓動(こどう)が早くなり、ウキウキして手に汗握ることだろう。ところが、そうでもない人の場合、まったく平常時と変わらず、あっ、来たか…くらいの軽さで出された料理を食べるに違いない。この違いを個人差だ! と、ひと言(こと)で片づけてしまえばそれまでだが、いよいよっ! という場面が暮らしの中で心に期待感を抱(いだ)かせるのは事実だろう。
 とある二人の男が鰻(うなぎ)の専門店へ入った。
「あっ! 定食…」
 片方の男が先に口走った。もう一人の男は単品(たんぴん)で鰻重(うなじゅう)を注文しようと思っていたから、出鼻(でばな)を挫(くじ)かれた格好(かっこう)だ。自分が知っている店に誘って入ったのだから、面子(メンツ)が潰(つぶ)れた・・という気まずさも残る。
 そして、しばらく時が流れた。いよいよっ! と期待して待っていたもう一人の男にとって、出された鰻重は定食のため時間がかかったのか冷めたく、余り美味(おい)しく感じられなかった。もう一人の男は、鰻重は単品にかぎるなっ! と、改(あらた)めて思った。
 いよいよっ! という鰻重の期待感は、単品にかぎるっ! ・・というニョロついた鰻のお話である。^^

            
                  完

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