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2019年5月15日 (水)

愉快なユーモア短編集-49- 想定(そうてい)

 先々に生じることを事前に考えようとするのが想定(そうてい)と呼ばれる頭脳行為である。それでも現実の世界は様々(さまざま)な変化を見せるから、必ずしも想定どおりになるとは限らない。なった場合が想定内、ならない場合は想定外・・と呼ばれる。人々は先々に起こり得る事象をより早く、より高精度で知ろうとしている。その行為を機器に委(ゆだ)ねた場合がシミュレーションと呼ばれる行為だ。気象の先読み、株価の動向予測などという高度なものから、精度と確率が最も低い?^^ と思われる人の占いに至るまで、想定にはさまざまな形態がある。
 とある町の一角にある名店街で人の行列が出来ている。
これは美味(うま)いっ! と好評のカツ丼専門店[ずぼら]だ。その店へサラリーマン風の二人の男がやって来た。
「混んでますねぇ、今日も…。どうします?」
 後輩風の男が先輩風の男に訊(たず)ねた。
「ははは…私の想定どおりだよ、君。このまま並ぼう」
「そうですかぁ~? 弱ったなぁ。僕、昼から取引先との重要な会合があるんですよっ!」
「ああ、そう。なら、付き合わなくともいいよ…」
「そうですかぁ~。じゃあ、別の店へ行きますんでっ!」
 そういうと後輩風の男は駆け出して消え去った。
「フフフ…」
 先輩風の男はニヤリ! と、愉快なゆとりの笑みを浮かぺた。その五分後、どういう訳か人の魚列は消え去り、先輩風の男一人が残っていた。
「あの、すみません! 私ですっ!」
「ああ! オーナーでしたかっ! さあ、中へっ! いつものように、とってありますっ!」
 先輩風の男はこの店のオーナーだった。だから当然、この男の想定は完璧(かんぺき)で、愉快なゆとり気分で笑えたのである。その後、先輩風の男は美味(うま)いカツ丼を堪能(たんのう)した。残念なことに、駆け出して消えた後輩風の男は、向った店が想定外の閉店で、昼抜きの菓子パン齧(かじ)りとなってしまったのである。
 想定は完璧な確実性を求められる訳だ。^^

                            完

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