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2019年5月 4日 (土)

愉快なユーモア短編集-38- お菓子(かし)

 お菓子(かし)は子供達を愉快な気分にさせる格好の食品だが、なにもそれは子供に限ったことではなく、大の大人にも有り難い食料なのである。登山ではチョコレートが貴重な非常食となったりするし、茶道などでは必要材料となる場合だってある訳だ。だいいち、小腹がすいた主婦達にとって、テレビを見ながら食べるお菓子がないと、機嫌が悪くなったりしてしまう代物(しろもの)なのだ。戦後の時代、まだ駄菓子が入手不足(にゅうしゅぶそく)だった頃は代用のお菓子を食べたものだ。私の記憶では、母が竹の皮に三角形にして包んでくれた紫蘇に漬けた梅干と紫蘇の汁を三角形の穴から吸っていた記憶がある。そんなに美味(びみ)ではなかったと思うが、記憶に残っている一品(ひとしな)である。野草もお菓子の代用になった。イタドリは少し酸(す)っぱ味(み)があったが、皮を剥(む)いてポリポリと味わった記憶が今も残っている。何の草かは知らないが、線路の際(きわ)に生えていた綿のような部分を食べた記憶もある。今の時代のように食べ尽くせないほどのお菓子がある時代とは、まったく違ったが、それでも、今ではない長閑(のどか)な気分で愉快に味わえたお菓子の代用品だった。愉快な気分は、お菓子がある、ない・・という尺度では感じ取れないということだろう。…とはいうものの、種々、豊富にあるに越したことはないようだが…。^^
 時は今、…戦国武将、明智日向守さんの連歌ではない。^^ 二人の子供が縁日(えんにち)の綿菓子(わたがし)を美味(うま)そうに舐(な)めながら神社の境内を歩いている。それを遠目(とおめ)に眺(なが)める通りすがりの男が一人、ふと呟(つぶや)いた。
「あの綿のような草、名前、なんだったんだろうな? …」
 名前は、もっか調査中だそうだ。^^

           
                  完

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