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2019年5月19日 (日)

愉快なユーモア短編集-53- 慣習(かんしゅう)

 社会生活の中で良くも悪くも関わってくるのが慣習(かんしゅう)と呼ばれるものである。公的な慣習[custum]と私的習慣[habbit]に分けられる。公的な硬いところでは、裁判所の判例、柔らかいところでは町内会の恒例集会といったものだ。私的な場合は、楽しみにしている週に一度の甘いデイトなどとなる。良い場合の慣習は祭礼とか風物詩で行われる催事(さいじ)で、愉快な気分に浸(ひた)れるから何の問題もないが、悪い場合は人の自由を束縛(そくばく)する場合もあり、考えものだ。例えば、大勢が余り変わるとも思えない不必要な選挙とかで、歳費の無駄遣(むだづか)いだっ! と思わず怒れる場合である。4年あるいは6年と法律で決められているのだから仕方がない・・と言えばそれまでだが、明らかに無駄で意味がない訳だ。
 とある町の公民館である。老人が敬老の日に出された冷めた弁当を広場のベンチで食べている。
「おじいちゃん! そんなところで食べてないでっ! お茶入れるから中で食べたらっ?!」
 ポツリと一人で寂しげに食べている老人を、見かねた老人係の保母が、ガラッ! とサッシ窓を開け、声をかけた。
「んっ? ああ、どうも…。いや、ココがいいんですよっ! ええ、ココが…」
 老人はふり向いて朴訥(ぼくとつ)に返した。他人目には、つまらない個人的な慣習だが、この老人にすれば愉快な気分に浸れるベンチでの食事なのである。
 このように、慣習も愉快な場合もあり、不愉快な場合もある訳だ。^^

         
                  完

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