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2019年8月 8日 (木)

分析ユーモア短編集 <34> 苦楽(くらく)

 我が国のとある超有名な宗教では、輪廻(りんね)する六道のうち、人の世は争いが絶えず、苦楽(くらく)に満ち溢(あふ)れた世界だとされる。そうだなぁ~…と思えることは、確かに多々ある。しかし、楽を勝ち得た者達が人の道に合格なのか? と問えば、必ずしもそうではないと分かる。人としては負け組だとしても、人として十分、合格だ・・という人はいるのだ。逆に勝ち組でも失格や不合格の人々も当然ながら存在する。要は、人の世は試行錯誤(しこうさくご)の連続で、自分を高める修行の世界なのだ・・と超有名な宗教は説(と)くのである。まあ、私は疲れるから、余り深く考えたくないのだが…。^^ 筆を進める立場上、仕方なく分析をしなければならないのは骨が折れる。えっ?! そんなことより夕飯? …夕飯は昨日(きのう)の残り物の鮭(さけ)を焼けば事(こと)足りる。^^
 苦楽で、楽な方の地位、名誉、出世、富裕、縁などの諸事は、まったく人の完成された道には関係がなく不合格の場合も多々、生じる・・との分析が成立する。具体例では、出世して疑獄事件でアウトな人は、何のために出世したか・・を忘れた不合格な人となる。逆に苦の方は、生きる過程で落ち葉のように消えていく不幸せな人も、頑張って潰(つい)えたなら十分に合格と審判[ジャッジ]される訳だ。そう気づけば[正覚(しょうがく)と仏教では説くそうだ。生姜(しょうが)ではない^^]ということで、苦楽はどちらも小さい方が…という結論に至るのである。
 お盆で忙しい寺から、アルバイトを頼まれた学生が、俄(にわ)か僧に身を窶(やつ)し、檀家(だんか)回りをしている。
「…はて? お見かけしない方ですなっ?」
「いや、なに…。ご住職が都合で来られないということでして、私(わたし)が…」
 学生は口にした瞬間、しまった! と思った。私ではなく、私(わたくし)と言うべきだった…と思った訳である。[し]一字のことながら、[わたし]に比べ、[わたくし]だと重みもあり、僧の風格があるのだ。すでにこのとき、学生には苦が付き纏(まと)っていた。まさに、若気(わかげ)の至(いた)り・・という例(たと)え通り、アルバイト料のお布施(ふせ)で楽をしようとした学生の気分は気疲れの苦へと転じた。
 このように、苦が楽に、楽が苦に・・なるのが苦楽の分析結果となる。^^

         
                  完

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