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2020年2月

2020年2月29日 (土)

助かるユーモア短編集 (39)糸(いと)

 糸(いと)は、いろいろな意味で使われる言葉である。単なる糸といえば裁縫(さいほう)の糸を思い描くが、手術で使用される縫合糸(ほうごうし)、蜘蛛(くも)の糸、男女が結ばれる赤い糸など、他にもいろいろな意味で使用される。フフフ…金に糸目はつけんぞっ! などと時代劇で使われる悪い意味の糸もある。^^
 割箸(わりばし)は綻(ほころ)んだワイシャツを縫(ぬ)い合わそうと、裁縫箱(さいほうばこ)から針と糸を取り出そうとした。幸い、針はあったが、肝心(かんじん)の糸が残り僅(わず)かで、割箸の発想は頓挫(とんざ)した。その日は勤務が休みだったこともあり、即席うどんを啜(すす)って食事を終えた割箸は町へ糸を買いに出ることにした。
 二時間後、とある町のとあるデパートに割箸の姿があった。
 割箸が衣類売り場を探し回っていると、有り難いことに遠く前方に糸の陳列台が目に入った。やれやれ、これで助かるな…と大仰(おおぎょう)に割箸は思った。割箸は無くなりかけていた糸巻きと同じような糸巻きを手にして、コレだなっ! と確信すると売り場のレジ台へと向かった。レジ台前には女性の店員が、私がレジ係です…と主張するような顔で立っていた。割箸は買い物籠を台へ置き、買おうとする糸巻きを取り出した。
「…35番でよろしいんですね?」
 瞬間、女性店員の言う専門的な意味が割箸には分からなかった。割箸は、『…はあ、まあコレで餅(もち)は切りませんから…』とは思ったが、そうとも言えず、無言で頷(うなず)いてスルー[通過]した。
 帰り道、35番じゃないとどうしよう…という、ひ弱な気分も湧(わ)いたが、まっ! いいかっ! と、Uターンして訊(き)き直さず、そのまま帰宅することにした。
 帰宅した割箸が同じ糸巻きかどうか? を確認すると、有り難いことに同じで、割箸の発想の糸は切れることなく、助かることとなった。
 まあ、糸は餅を切らず、助かるために存在するものののようだ。^^

           
                  完

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2020年2月28日 (金)

助かるユーモア短編集 (38)極(きわ)まる

 どういう訳か極(きわ)まると積極、極まらないと消極と言う。気になったから調べてみると、自然科学の分野で極(きょく)は指向性・方向性を持つもの・・とあった。その+[プラス]と-[マイナス]を積極的、消極的と表わすようだが、どちらが助かるのか? は分からない。^^ 極(きわ)まった方が助かる場合もあり、その逆も当然、有り得るからだ。極まれば、その先が、どうなるか分からない・・という意味もある。アグレッシブ[積極的]にやって失敗する場合もあり、成功することもあるからだ。
 二人の老人AとBが、とある道場で座禅をしている。この道場は風変わりな道場で、座禅をして悟(さと)りを得て汚(けが)れを絶つ・・という目的で開かれたボランティア道場だ。宗教的、経済的、社会的な色彩は、まったくなく、誰でも自由に入場できる道場で会費はいらなかった。ただ、朝の九時から夕方の五時までと決まっており、この道場の持ち主がその時間前に鍵を開け、そして閉じて帰る・・という慈善事業の場になっていた。ただ、寝泊り・食事・入浴は不可、用便は持ち帰り[散歩の犬・猫的^^]・・という最低限のルールがあった。
 Aが座禅を終え、欠伸(あくび)をしながら背伸びをして立ち上がった。その気配(けはい)に気づいた隣りのBも、無造作に同じ仕草で立ち上がった。
「極まりましたかな?」
「ははは…そう簡単に極まれば助かるんですがな。腹が減って美味(うま)そうなラーメンが浮かびましたので、今日はこのくらいにしようかと…」
「ああ、そうでしたか。私も、そろそろ五時か? と思えましてな…。そういや、美味いラーメン屋が開店しましたぞっ!」
「ほう!! それはそれは…。では、ご一緒しますかなっ! スープは半残しで…」
「ははは…是非! 半残しで…」
 二人は健康に留意しながら道場を出た。どちらも極まらなかったが、空腹からは助かることになった。^^

           
                  完

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2020年2月27日 (木)

助かるユーモア短編集 (37)災害

 梅雨(つゆ)末期ともなれば、豪雨や長雨(ながあめ)による災害が全国各地に広がる。もちろん天災だが、それだけとも言えない節(ふし)がなくもない。なくもない・・とは早い話、あるということに他ならない。^^ いや、失礼! 笑い話ではない。災害に合われた方々に対し、お見舞を申し上げ、深く哀悼(あいとう)の意を示さねばならない。 m(_ _)m
 天災ならば、どうしようと避(さ)けられないが、人災の場合、その原因を取り除(のぞ)けば、それで助かる場合が多い。例(たと)えば、山崩れによる土砂災害だが、警戒警報を出したからといって人々が助かるとは限らない。飽くまでも注意を喚起(かんき)するだけのことなのである。根本的な問題は、そんな危険な場所へ家が建てられるのかい? という素朴(そぼく)な疑問が起こる建築基準法の問題だろう。建築許可がお上から許されるから、そんな危険な地へ新しい造成地を業者が広げて家が立ち並ぶ訳である。国が犯人? これは言い過ぎだろうが…。^^
 とある地に、古くから建っているポンコツの家がある。その少し先には団地の真新しい家々が建ち並んでいる。その両方に住む仲がいい住人二人が話し合っている。
「ひどい長雨でしたな」
「はい、ひどい雨でした。うちの家、建ったばかりで傾きました」
「そうそう、お宅はそこの新しい団地でしたな」
「はい! やっとローンで買えたんですが、さっぱりです。で、お宅は?」
「うちの家はポンコツですが、建物自体はまだまだ100年以上はいけそうでしてな。災害にはビクともしません、ははは…」
「そんなに?」
「はいっ! ボロですがな、丈夫で長持ち・・が取り得(え)ですわ、ははは…」
「…」
 災害で家が助かる場合、新しい古いは関係なさそうだ。^^

         
                  完

   ※ 災害をユーモアにしておりますが、災害は決して笑いごとではありません。被災された方々に対しまして、深く哀悼の意を表すとともにお見舞いを申し上げる次第でございます。

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2020年2月26日 (水)

助かるユーモア短編集 (36)負けるが勝ち

 負けるが勝ち・・という慰めるような便利な言葉がある。負けて悔(くや)しい気分が少し和(やわ)らいで助かるのだが、言われた側としては、やはり勝ちたい訳で、余計に悔しさが増すということになる。^^
 とある家庭の庭で夕涼みをしながら縁台将棋が指されている。隣通しのご隠居二人による、どうでもいいようなヘボ将棋なのだが、ご当人達は至って名人気取りで指している。棋力はどちらも1、2級といったところで、初段にはもう少し…といった程度だ。しかし、ご当人達は2、3段の気分で指しているから、周(まわ)りの者にとっては大層、始末が悪かった。
「いや! もう一番っ!! と言いたいところですが、本日は、この辺(あた)りで…。今日は体調が悪いようですな、ははは…」
 実のところ、このご隠居は決して負けた…とは思っていなかった。真逆の負けてやった…と思っていたのである。というのは、早く負けて帰ってもらわないと、今日の夕食のスキ焼きを家族に食べられてしまう恐れがあったからだ。負けるが勝ち・・の気分でこのご隠居は指していたのである。
「いつも負ける私が勝てる訳がありません。これは妙ですぞ、もう一番!」
 相手のご隠居は少し不審に思えたのか、もうひと勝負を所望(しょもう)した。
「いやいや、今日はいくらやっても勝てる気がしない」
 スキ焼きが頭のご隠居は、ここは逃げの一手(いって)とばかりに遁走(とんそう)を策(さく)した。そのときである。家内から何やらいい匂いが漂ってきた。スキ焼きの匂いだった。
「なるほどっ! そういうことでしたかっ! どれどれ、私もご相伴(しょうばん)させていただきますかな、ははは…」
「はあ…」
 負けるが勝ちも、計算づくでは、負ければ負け・・と助からならないようだ。^^

                          完

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2020年2月25日 (火)

助かるユーモア短編集 (35)真実

 どれだけ包み隠そうと、誤魔化そうと真実は一つであり、それ以上でもそれ以下でもない。ただ世の中では、この真実が方便(ほうべん)として一定の許容範囲を持っており、程度の差こそあれ、罷(まか)り通っているのである。道路に煙草(たばこ)の吸殻をポイ捨てたからといって、電柱で隠れていた刑事がスクッ! と現れ、『環境破壊法違反で現行犯逮捕するっ!』などとは言わないだろう。^^ こうした曖昧(あいまい)な罪(つみ)とも言えない罪が許されるから、私達は助かることが多いのかも知れない。
 とある家庭の一場面である。母親と子供が話している。
「あらっ? 今日は塾(じゅく)、休みなのっ?」
「…ああ」
 子供は母親に小型ゲーム機を弄(いじ)りながら自然体で返したが、いくらか声が小さい。真実味に欠けるのである。それを母親は見逃さない。まるでベテラン刑事のような巧妙さで、その供述を突き崩(くず)していく。
「お隣(となり)の正ちゃん、さっき急いで塾の方へ走っていったわよ」
「フ~~ン…」
「なんだったんだろうね?」
「さあ…」
「そういや、手に鞄(かばん)もってたわよ」
「…どんな?」
「いつも塾へ持ってってるやつ」
「…」
 息子は無言で鞄にノートと参考書を入れると、玄関へ急いだ。
「あら? どうしたのっ?」
「いけねえ! 日を間違えたんだ、僕…」
「そうなの? …気をつけてね」
 母親は日を間違えたのではなく、ズル休みしようとしていた・・という真実を知ってはいたが、そうとは言わず、子供を塾へと送り出した。
 このように柔らかく真実へ導かれれば、子供は大いに助かることだろう。^^

        
                  完

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2020年2月24日 (月)

助かるユーモア短編集 (34)草だらけ

 地方ならまだしも、都心の永田町にペンペン草が生え、さらにそれが広がって草だらけとなった夢を疣川(いぼかわ)は見た。その夢は、なんともリアル[現実的]で、都心のビル群が雑草に取り囲まれたかのように立っているのである。不思議と人の姿は見えず、一台の車も走ってはいなかった。それもそのはずで、車道はもはや、その灰色のアスファルト路面を消し、道の輪郭すら分からなくなっている。喉(のど)は渇き、腹も空(す)いてきた疣川は、助かる術(すべ)はないか…と、ビルを見上げながら辺(あた)りをさ迷った。よくよく考え直せば奇妙な話なのだが、夢なのだから、まあそれもアリか…と後日、思えた。
 夢の疣川は国会議員でもないのに議員席に座っていた。見渡せば、与野党の席が入り乱れていて、与党も野党も判別がつかない状態ではないか。現実にはありえない光景の中、閣僚(かくりょう)と思(おぼ)しき人物が懸命に壇上で答弁をしていた。すると、これまた不思議なことに、いつの間にか疣川は議場の閣僚席へと移り、座っていた。多くの国会議員を見下ろす位置である。そして次の瞬間、議長のホニャララの声が議場に響き渡った。
『疣川$%大臣!』
 よく見れば、答弁していた閣僚と思しき人物はスゥ~~っと、いつの間にか壇上から消えていた。疣川は壇上へ立つでなくスゥ~~っと向かった。夢だから、壇上へ向かう疣川に歩く感覚はなく、まるで幽霊そのものだった。なんとも便利なエスカレーター感覚である。そして、疣川はいつの間にか好きなことを出任(でまか)せに答弁していた。
「皆さん!! 永田町は草だらけっ!! この永田町の草を一掃(いっそう)しようじゃありませんかっ!!」
 そのとき議場から野次が飛んだ。
『草だらけにしたのは、与党内閣だろうがっ!!』
『静粛(せいしゅく)にっ!!』
 ホニャララ議長は『私は議長で偉(えら)いんだよっ!』とでも言うかのような上から目線の厳(おごそ)かな声で議場を窘(たしな)めた。疣川は、やれやれ、こけで自分は助かる…と、助かる理由もなく思った。そこで、目が覚めた。
 疣川は、部屋の中が草だらけ状態に散らかっている現実に気づき、『こりゃ、助かる訳がないか…』
とテンションを下げた。
 草だらけは、なにも草ばかりではない・・というお話である。助かるには、整理整頓+掃除などによる草だらけ状態からの脱却(だっきゃく)を目指さねばならないだろう。^^

          
                  完

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2020年2月23日 (日)

助かるユーモア短編集 (33)度(ど)

 物事には度(ど)ということがある。この度を越すと、失敗したりダメになったりする確率が極(きわ)めて高くなる。そろそろ売りどきだな…と思った株価が予想以上に高値をつけ、いやっ、まだ上がるぞっ! …と売らなかった結果、株価が急降下し、大損をした・・といったようなことだ。2点を得点したまではいいが、いけるぞっ! と度を越して攻めを続けた結果、3点取られて逆転負けを喫(きっ)した・・というホニャララな試合も、まあその類(たぐ)いだろう。サッカーファンのお方ならよくご存知だろうが、そこはそれ、かつてのイタリア・チームのように7-2-1くらいの布陣でカテナチオ[閂(かんぬき)]をかけたように引き、2点を死守する・・といった作戦だったら、あるいは勝てたかも知れない…とも思える。孰(いず)れにしろ、度を越せばロクなことにはならず、助かるものも助からない・・と言えるようだ。^^
 とある飲み屋街である。二人のサラリーマンが細い路地(ろじ)を漫(そぞ)ろ歩いている。
「先輩っ! もう帰った方が…」
 酔いの浅い後輩サラリーマンが、酔いの深い先輩サラリーマンに釘(くぎ)を刺す。
「ウィッ! なに言って$%$”…まだまだっ! もう、一軒っ!!」
 完全に度を越しているのだが、当の本人はまったく自覚なく、意固地(いこじ)に主張する。
「そうですかぁ~? じゃあ、もう一軒だけですよっ!」
「ウィッ! ヨッシャ!! &%●#$○#”…」
 しばらくして、二人は別の店へと入っていった。
 その一時間後の同じ路地である。
「せ、先輩っ!!」
 先輩サラリーマンは完全に度を越し、ノックダウン状態で地面に大の字で眠っていた。救急車で、その先輩サラリーマンが病院へ搬送されたのは、二十分後だった。
「残念ですが…」
 急性アルコール中毒によるアノ世への旅立ちが医師から後輩サラリーマン‎に告げられた。
 度を越せば助かるものも助からなくなる・・という典型的な一例である。^^

         
                  完

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2020年2月22日 (土)

助かるユーモア短編集 (32)争(あらそ)い

 人類の歴史は争(あらそ)いの歴史・・と言われる。確かに、有史以来、人類は数多くの争いを重ねて今日に至っていることは誰もが認めるところである。ただ、争いをして双方ともに助かることはない! と断言できるのも事実なのだ。この意味を述べれば、勝った方も敗れた方も、どちらとも争いの前の状態から失うものが出るからである。敗れた方の失ったものが勝った方より多いのは当然だが、かといって、勝った方に失ったものが無いのかと問えば、それは間違いで、争った以上は必然的に失うものが出る・・ということである。同じ争いでも、夫婦の争いは、犬も食わない・・ということで、まったく助かる話にはならない。^^
 とある一(ひと)組の夫婦が痴話喧嘩(ちわげんか)で揉(も)めている。
「それは去年の話だろっ!? 今、そんなことは爪(つめ)から先もないからなっ!」
「あらっ!? よく言うわね。じゃあコレは何よっ!!」
 妻が夫に詰め寄り、チェックメイト[将棋でいう王手]した。
「ソレ!? ソレはソレだけのもんさっ! 偶然、前の残りが入ってただけさっ」
 夫は一瞬、撤退を余儀なくされたが、それでも一歩も引かず撃ち返す。だが、妻も負けてはいない。
「あらあら・・すると何? このいい匂いもそのときの?」
 妻は、なおも追撃の手を緩(ゆる)めることなく攻め立てる。
「んっ!? おお、そうさっ!!」
 夫は、いよいよ逃げ場を失い、追い詰められて返答するのが関の山となる。
「まっ! いいわっ! そうしときましょ! 今回だけは…」
 妻は、すんでのところで夫の命を助ける。
「ああ!」
 夫は助かったと一瞬、思ってホッ! とひと息つく。
「ただし、次はないわよっ!!」
 妻は用意していた止(とど)めのひと言を発し、夫を降参させる。
 まあ、こんな争いなら、世界は助かるし、平和は保たれることだろう。^^

                             完

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2020年2月21日 (金)

助かるユーモア短編集 (31)ゾクッ!

 噎(む)せ返るような暑さの夏に、身の毛もよ立(だ)つゾクッ! とする怖い話などを聞けば、暑さも多少は遠退き、助かるというものだ。ただ、冬場には余計に寒くなって身体が凍てつくから、お勧(すす)めは出来ない。^^
 夏の真っ只中、公民館の一室で暑さを紛(まぎ)らす納涼講談会が開かれている。主催者は地元の講談同好会で、会員がその練習成果を発表するといった、いわば学習発表会のような催(もよお)しである。午前の部がひと通り終わり、幕間(まくあい)の昼食休憩に入っていた。見物の老人二人が出された弁当を食べながら話し合っている。
「いやぁ~、ここの講談会の怪談は、ゾクッ! とさせてくれますから、暑さが和(やわ)らいで助かりますなぁ~、ほんとにっ!」
「はいっ! プロ級ですかいのぉ~。私も倍、助かっとるがですっ!」
「と、言われますと?」
「暑さも、ですがのう…」
 話す老人は急に声を小さくした。
「私ね、この幕内弁当で助かりよるんですわ」
「ほう! さよで…」
「ええええ。…まあ、お聞きくださいましな。うちの息子の嫁(よめ)、なんと申しますか、たいそう酷(ひど)い嫁でございましてのう。食わしてくれよりましぇん。今日は食えるんかいっ? 明日は食えるんかいっ? てな、ゾクッ! とする日々が続きよります」
「それはまあ、なんともお気の毒な…。それで倍、助かると?」
「ええ、まあ…」
「講談でゾクッ! として、で、食べれてですか?」
「ええ、そげぇ~なりますかいのう」
 二人の話は尽きない。ゾクッ! とする気分は、いろいろと助かるようだ。^^

       
                  完

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2020年2月20日 (木)

助かるユーモア短編集 (30)やるだけやるっ!

 ダメと分かっていても、やるだけやるっ! という意気込みで臨(のぞ)めば、上手(うま)くいって助かる場合がある。むろん、この場合の上手くいく確率は極(きわ)めて低いのだが、それでも手を拱(こまね)いて何もしないよりはいい・・という論理が成立する訳だ。━ 人事を尽くして天命を待つ ━ という名言が語るように、やるだけやってダメならダメ元だし、諦(あきら)めがつくというものだ。この例はいろいろあって、手術や恋愛、商談、実験・・などと、多岐に渡る。やる気もないのに嫌々(いやいや)、やるだけやるっ! という手合いは除外していただきたい。^^
 とある病院である。
「先生! どうなんでしょう!?」
「はあ、まあ…。やるだけのことはやりました…」
「やるだけのことは、やっていただけたんですねっ!?」
「ええ、まあ…。やるだけやって下さい・・ということでしたので…」
「はい、確かにそう申しました。ダメ元ですから…」
「でしょ!? ですから、やるだけやるっ! という気分でやりましたよ、そりゃ」
「それでっ!」
「あとは本人に訊(き)いてください。事務長、たかが好きか嫌いかの話じゃないですかっ! 直接、言ってくだすった方が、よかったんじゃないでしょうか?」
「ですから…まだ脈はある訳ですなっ?」
「ははは…そりゃ脈はありますよ。脈がなければ、何時何分でした…なんて言わなきゃならんでしょうがっ
「ははは…そりゃ、まあそうだっ!」
 病院の事務長が惚れた看護師とのナニがその後、どうなったか? までは定かではない。まあこのように、やるだけやるっ! と意気込む必要もない、つまらない助かる助からない話が病院にもある・・ということだ。^^

           
                完

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2020年2月19日 (水)

助かるユーモア短編集 (29)雰囲気

 雰囲気がいい感じで広がっていて、助かる場合がある。当然、その逆の場合もあるが、一つ言えることは、雰囲気そのものが見えない・・ということだ。その点は、(28)で取り上げた運と、よく似通っている。洋風に言えばムードである。『おっ! あの二人、なかなかムードがいいねっ!』というアレだ。^^
 サッカー・W杯[ワールドカップ]たけなわの、とある会場である。A、B二カ国の外国人サポーター達がなんとも賑(にぎ)やかでド派手(はで)なコスチューム[民族特有の衣装]に身を包み、熱狂的な応援を繰り広げている。その中で、対戦している二国とは関係がない日本のファンが冷(さ)めた気分で話し合っている。
「いや! 俺はA国が勝つと思うぜっ! なんといっても応援する声の雰囲気がいいっ!」
「…そうかい? 俺はB国の衣装からして勝ちはB国だと思うぜ。衣装の雰囲気がいい…」
「ああ、コスチュームか…。確かにコスチュームならB国だが、声はA国だぜ」
「ああ、声では、な…」
 二人は両国のサポーターばかり見ながら、好き勝手なことを言い合っていた。
 試合の結果、声援、衣装とも雰囲気がよかったのか、0-0の引き分けで終了した。
 まあ、雰囲気とはこんな曖昧(あいまい)な感じで、当事者が助かる力になっている訳だ。^^

        
                  完

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2020年2月18日 (火)

助かるユーモア短編集 (28)運

 助からないことでも、運のよさで助かる・・という場合がある。この運という得体(えたい)が知れない流れは、コレっ! と明確に示せるような見える存在ではない。例(たと)えば、ほんの些細(ささい)な対応の違いで相手の印象が変化して助かる・・とかだ。サッカー・W杯[ワールドカップ]の決勝トーナメントへ、二つの国が同じ勝ち点差、同じ得失点差の状態でフェアープレーポイント差[イエローカード{ルール違反警告カード}の差]で出場出来る場合とは違うだろうが…。^^ それでも、ビミョ~~な差で勝ち残れるのは、予選リーグの組み合わせも含めて、運がいいっ! と言わざるを得ないだろう。^^
 サポーター的なサッカーファン二人が飲み屋街で盛り上がっている。
「ははは…おめでとう、乾杯っ!!」
「ああ! 乾杯っ!!」
 自分自身にいいことがあった訳でもないのに、二人のテンションは、すっかり高まっていた。そこへ店のマスターが現れた。
「偉(えら)く盛り上がってますなっ!? 何かいいことでもあったんで?」
「ははは…マスター! これがいいことじゃなくて、何がいいことなんですっ!?」
 二人のうちの一人が逆にマスターへ訊(き)き返した。
「…と言いますと、何でしょ!?」
 取り分けてサッカーファンでもないマスターには、その訳が分からない。
「いやぁ~! ビミョ~~なところで助かったアレ! ですよっ!」
「助かりましたかっ!? そりゃ、よかった!! で、命に別状は?」
「別状はなかったんですが…」
 サッカーファンはテンションを下げて返した。
「ははは…まあ、今のところ、助かった・・というだけのことなんですがね…」
 もう一人のサッカーファンも酔いが冷めたような顔で返した。
「いやいやっ! 助かることはいいことです。よかった、よかった! ははは…よかった!」
「ははは…」「ははは…」
 二人のテンションはふたたび回復した。
「ははは…それじゃ?」
 マスターは訳が分からないまま二人の席から去った。しばらくして、マスターから祝いの一皿のサービス[もちろん、無料!^^]が置かれた。
 まあ、運とはこんな感じで、僅(わず)かな違いで状況を変化させるものなのである。^^

        
                  完

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2020年2月17日 (月)

助かるユーモア短編集 (27)順序

 次はそれで、で、その次はそのアレで、で、次の次はアレのコレで…と前もって順序を決めておけば、割合、やり易(やすく)く助かる。だが、この順序を妨害されれば、その次のアレがアレにならず、あれっ? と首を捻(ひね)って助からないことになる。^^ 別にダジャレを言っている積(つ)もりはないが、事実だから仕方がない。
 とある会場でカラクリ大会が開かれている。どういうカラクリかといえば、転がったプラスチックの球(たま)が棒に当たると、その棒の先についていた紐(ひも)が引っ張られて上の板が傾く。板が傾くと、板の上の卵が転がって下のフライパンへと落ちる。途中にはまた穴の開いた板があって、卵はフライパンに落ちる途中で割れて殻(から)だけが板に残り、卵の中身だけがフライパンへ落ちるという寸法だ。フライパンの下のガスコンロは引っ張られた紐の別回路のカラクリで、すでにガスの火が点(つ)いて美味(おい)しい目玉焼きが出来上がる・・という順序のカラクリだ。カラクリが上手(うま)くいけば、製作した田村の腹は満たされる・・という趣向だ。^^ ところが、である。
「おじさん、また引っかかったよっ!」
 会場で見ていた一人の子供が田村に声をかけた。カラクリの最初のプラスチック球が上手く転がらず、途中で引っかかって止まるのである。これでは棒に当たる訳がないから棒の先の糸は引っ張られず、板は傾かない。当然、卵は転がらず割れる訳がない。だから、田村は目玉焼きを食べられず、腹も満たされず優勝も出来ない・・ということになる。
「ははは…またかっ!」
 田村は苦笑しながらプラスチック球を元の位置へと戻(もど)した。やがて、審査が行われ、その結果、田村は優勝出来なかったものの、お笑い賞を受賞し、トロフィーを手にした。まあ、もらえないよりは・・といった程度の賞である。しかし田村にすれば、晴れてトロフィーが手に出来たという予想外の順序の展開に、心は喜びで満たされていた。
 順序が違っても、助からないこともない・・という馬鹿げたお話である。^^

         
                  完

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2020年2月16日 (日)

助かるユーモア短編集 (26)その時々(ときどき)

 日々、生活している同じ繰り返しでも、その時々(ときどき)に起こる出来事は、少しづつ違ってくる。━ 一期一会(いちごいちえ) ━ などという名言(めいげん)もあるくらいで、その時々は二度と同じ形(かたち)では巡らない。起こる内容は同じであっても、その周(まわ)りを取り巻く環境や時(とき)はすでに違っていて、決して同じではないのだ。だから、その時々を大事にしないと取り返しがつかないことになる。例(たと)えば、あの時、受かっていたら…とか、あの時、出逢っていれば…といったタラレバ問答になる訳だが、あとの祭りなのだ。SF映画のように、あの時その時に戻(もど)れればいいのだが、未来がどうなるかは別として、今の時代ではまったく不可能なのである。^^
 昔、恋愛関係にあった、とある二人の男女が、何十年かぶりに、とあるところで、とある時に偶然、再会した。
「お久しぶりです、飯豆(いいまめ)さんっ!」
「ああっ! 田楽(でんがく)さんでしたわね…」
 二人は久しぶり、いや、ふたたびの再会に時を忘れて近くの喫茶店で四方山話(よもやまばなし)に花を咲かせた。
「あっ! いけないっ! もうこんな時間だっ! あの…お時間、大丈夫ですか?」
「えっ? 私ですの? 私は、もう隠居身分ですから別に…」
「そうですか…」
 田楽は飯豆の返答に、過ぎ去った時の流れの長さをふと、思った。二人は夕食をともに過ごすことになった。
 ここは、風情ある昔ながらの、とある料亭である。二人が食事を楽しみながら話をしている。
「ははは…あの時、待っていたんですよ、一時間近く…」
「えっ! 私も待ってましたわ、一時間近く…?」
「えっ? いや、それはおかしいな。吸物橋(すいものばし)の下でしょ?」
「いいえ、上で…」
「ええっ! そんな馬鹿なっ! 吸物橋の下で夜、八時に・・と言いましたよ、確か?」
「いいえ、吸物橋で夜、八時とだけお聞きしましたわ…」
「私、言わなかったですか…」
「ええ…」
「ははは…それじゃ、明日の夜、改めて八時に」
「ほほほ…はいっ! 吸物橋の上で」
「ははは…吸物橋の上で」
 二人はもうあの時には戻(もど)れない…という切ない同じ想いで笑って別れた。さすがにその後、あんなことやこんなことはなかった。^^
 とまあ、助かるような助からない、なんともお粗末なお話である。皆さん、その時々を大事にしましょう。^^

        
                  完

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2020年2月15日 (土)

助かるユーモア短編集 (25)ランクづけ

 多くの人や物が存在すれば当然、個々に違いが生じる。ああ、あの人はよく出来た人だ…と言われれば助かるが、ありゃ、ダメだっ! 話にならんっ! と言われたりすれば、まったく助からないだろう。^^ こうした目に見えない評価の違いでランクづけが生まれる訳だ。
 とある高校である。
「君(きみ)ねぇ~、このランクじゃ、とてもとても灯大へは入れないよっ! 無理無理。全然、無理っ!!」
 進路指導の長首(ながくび)は生徒の嘴(くちばし)を座らせたまま、無理を強調してそう告げた。
「はあ…、志望校、変えないとダメですか?」
「ああ、まあな…。ははは…進路指導の俺としては、だっ! お前のランクづけは下から三番目だから、まあ、変えてもらった方が助かるんだが…」
 嘴は、『何が、ははは…だっ! 勝手にランクづけするなっ!!』と怒れたが、言い返せる訳もなく、思うに留(とど)めて頷(うなず)く他(ほか)なかった。
「分かりました…」
 嘴は、小声でそう呟(つぶや)いた。
「悪く思うなよ」
「いえ、ちっとも。じゃあ鏡大にしますっ!」
「んっ! ああ…。そこなら受かるか…」
 長首は『鏡大!? お前のランクで受かる訳なかろう!!』と怒れたが、そうとも言えず、仕方なく応諾(おうだく)した。
 翌年の春、嘴は見事に鏡大に合格し、白鷺(しらさぎ)のように田畑の餌(えさ)を啄(つい)ばんだ。
 このように、ランクづけの結果が、必ずランクづけどおりになるという訳でもない・・ということだ。サッカーのチーム力が世界ランクで下から三番目でも、決して優勝不可能ではない・・ということだから、ファンやサポーターの方は気分的に助かることだろう。^^

         
                  完

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2020年2月14日 (金)

助かるユーモア短編集 (24)自然体

 何事も自然体で臨むと、いい結果が出て助かる。そこにどんな仕組みがあるのか? ということを、欠伸(あくび)をしながら考えてみるのも面白いだろう。もちろん、どうでもいいようなことだから、お菓子を齧(かじ)りながら緑茶、紅茶あるいはコーヒーを啜(すす)ってもらっても構わない。^^
 自然体は本来持ち合わせた人間に潜在する穏やかな意識を呼び覚まし、人を落ち着かせるオゾンのようなオーラを発散する。その姿は見えないから私達は気づかないのだが、神社や仏閣に植えられた多くの樹木に囲まれているうちに皆さんの心が和(なご)んでくることはないだろうか。こうだっ! と言い表せないない漠然とした効果ながら、あることはあるのだ。何も自然体は自然に限ったことではなく、ありのままの自分という心境でコトにあたった場合にも言え、思った以上に成功したり成就する確率が高まるのである。いえ、思った以上に成功したり成就する確率が高まるのである。
 一人の老人が周囲を気にせず、カランコロン・・と下駄の音を響かせながら[怪談ではない^^]ステテコに半袖(はんそで)の下着姿で歩いている。鞄(かばん)を肩から襷(たすき)がけしている姿も、どこか周囲の人の動きに馴染(なじ)まず違和感がある。だが、本人は至って落ち着いていて、悪びれる様子もなく自然体だ。そこへ、自転車で巡回する交番の巡査が通り合わせ、その姿に気づいた。
「もしっ! そこのお方っ!!」
「…? 私ですかな?」
「そうですっ! おたくです」
「なにか用(よう)か、九日(ここのか)十日(とおか)?」
 巡査は古いギャグだな…とは思ったが、そうとも言えず思うに留めた。
「そんな格好で歩かれて、どうかされたんですか?」
 巡査は絡(から)め手から攻めようと思った。正面突破は相手ディフェンスが強く、とてもゴールを揺らすことは出来ない…と考えたのである。いわゆるサッカーで言うところのサイド攻撃だ。^^
「なにか不都合ですかな?」
「いや、別に不都合という訳ではないんですが…」
「わたしはこの格好が、ごく自然体で気にいっとるのです。だいいち、楽です。それに汗もかきませんから助かるんですわ…」
「はあ、そうですか。ははは…それはそれは」
 巡査は目に見えない強烈な相手ディフェンスに阻止(そし)され、撤退(てったい)を余儀(よぎ)なくされた。
 この一例のように、自然体が一番、助かるのだ。^^

         
                  完

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2020年2月13日 (木)

助かるユーモア短編集 (23)楽しみ

 人は生活のために働き、そして疲れて一日を終える。その繰り返しではなんとも辛(つら)いが、助かるのは余暇(よか)の楽しみがある・・という点だ。むろん、楽しみのために働く人も数多くいる。^^ ただ、楽しみが人の生活を潤(うるお)していることは、ほぼ間違いがない事実だろう。中には生活など気にせず、楽しみを専門に生きている人もおられるが、そこはそれ、それで生活できる星の下(もと)に生まれられたお方なのだから文句のつけようもない。^^
 今朝もサッカー・W杯[ワールドカップ]の番組がテレビを賑(にぎ)わせている。干梅(ほしうめ)もサッカーファンの一人で、勤務後の夜に録画取りのビデオを見るのを楽しみに仕事をしていた。W杯が始まってからというもの、仕事が順調に運んでいい気分の干梅だった。
「おおっ! これは、いい企画だっ! さっそく部長決裁に回すよ、干梅君!」
「ええっ! そうですかぁ~? そんなに自信なかったんですけどねぇ~」
 干梅は課長の紫蘇(しそ)に褒(ほ)められ、悪い気がせず、したり顔になった。というのも、いつもは紫蘇の塩辛(しおから)いひと言で萎(な)えたように漬け込まれる干梅だったからだ。
「いや、なかなかいいよっ! 課長の渡してしても、この企画書は大いに助かるっ! なんか最近、調子いいじゃないかっ!」
「課長、そりゃ当然ですよっ! 僕には楽しみがありますからっ!」
「楽しみ? …なんだい、そりゃ?」
「ほらっ! 始まってるじゃないですかっ!」
「なにが?」
「アレですよっ!」
「ああ、アレか…。アレだろっ!?」
「そうです、アレですっ!」
「ははは…アレは助かるっ!」
 干梅はW杯を思い、課長の紫蘇はデパートの欲しかった商品のバーゲンセールを思った。
 助かる楽しみは人それぞれだ・・というお話である。^^

                           完

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2020年2月12日 (水)

助かるユーモア短編集 (22)上戸(じょうご)

 酒を飲めば程度の差こそあれ、誰もが酔う。酔えば普通の状態からこれも程度の差こそあれ、気分が変化する。この変化が著(いちじる)しい場合、人はその変化を上戸(じょうご)と言う。アルコールによる酔いのせいだが、助かるのは泣き上戸や笑い上戸という面白い上戸だ。喧嘩(けんか)上戸、怒(おこ)り上戸、それに暴(あば)れ上戸はその逆で、まったく助からない騒ぎではなく、非常に迷惑する上戸だ。^^
 久しぶりの休みに手羽崎(てばさき)がうらぶれた、とある飲み屋のカウンター席でひとり飲んでいる。少し離れた同じカウンター席でも二人の男が飲みながら話をしている。どちらも手羽崎が店へ入ったときにはすでにいて、かなり出来上がっているのか、ふらつきそうな赤ら顔状態だった。二人は、どちらも癖(くせ)のある呑み助(すけ)風に思えた。一人は笑い上戸で、もう一人は泣き上戸である。店にテレビはなく、手羽崎にとって助かることは、二人の話が面白く、手持ち無沙汰な心を慰めることだった。
「ぅぅぅ…サッカーなっ! あの結果だっ!」
「ははは…そうそう!!」
「ぅぅぅ…よくやったよっ!!」
「ははは…よくやったな!!」
「ぅぅぅ…だなっ!?」
「ははは…そうともっ!」
 手羽崎は面白く聞いていたが、いい結果か悪い結果なのか分からず、思わず二人に訊(たず)ねようとしてやめた。手羽崎の気分は二人の上戸で面白さが失せ、俄(にわ)かに悪くなった。
 助かるような面白い上戸も、時には面白くなく助からない・・という上戸のお話である。もちろん、暴れ上戸で助かることがないのは確かだ。^^

         
                  完

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2020年2月11日 (火)

助かるユーモア短編集 (21)気力

 あの人、元気がいいねぇ~! と言う場合、言われた人は気力が漲(みなぎ)った状態にあると推定される。気力が漲る状態が元気で、萎(な)えた状態が病気と言える。^^ 同じ物事に処す場合でも、気力があるかないかでは自(おの)ずと結果が変わってくる。
 とある総合体育館で柔道の大会が行われている。世界大会に向け、代表選手を選考する重要な大会だ。そして、ついに大会は最終局面を迎えようとしていた。決勝の猫川(ねこかわ)四段×虎崎(とらさき)五段の試合が、今まさに始まろうとしていた。双方とも意気盛んで、気力に満ち溢(あふ)れていた。
 会場の一角に設けられたテレビ解説者席である。アナウンサーとゲスト解説者が、いい加減な話をしている。
「どちらが有利なんでしょうか?」
 アナウンサーが朴訥(ぼくとつ)に訊(たず)ねた。
「えっ!? ああ、まあ、勝つ方なんでしょうが…」
「ははは…それは、まあそうなんですがね」
「しいて言えば、気力が勝(まさ)った方ということになりますか…」
「双方とも気力は互角(ごかく)のように見えますが…」
「はい。まあそうなんですが、猫と虎ですから、虎ということで…」
 アナウンサーは、なんじゃ、そりゃ!! と怒れたが口には出来ず、愛想笑いをした。
「ははは…窮鼠(きゅうそ)、猫を噛(か)むということもありますよ」
「はあ、そう言いますね。鼠(ねずみ)は助かります。ですと、この場合、窮猫、虎を噛む・・ですから猫が助かるんですか? ははは…」
 後ろで馬鹿馬鹿しい二人の遣(や)り取りを聞かされていた観客は、観る気力が失せ、助かるかっ! と怒れて席を立った。
 メンタル[心理的]に影響する気力は、フィジカル[身体的]な肉体を超え、助かる力を与える訳だ。^^

         
                  完

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2020年2月10日 (月)

助かるユーモア短編集 (20)マジック

 現実にマジック[奇術、手品(てじな)]のような奇跡が起これば、人々は助かることになる。次から次へと指先から一万円札が湧き出せば、これはもう、\(^0^)/ と、笑顔になれる訳だ。ところが現実は全然、助からず、マジックのように逆にお金を国へ吸い取られるシステムになっている訳だ。^^ こんな世の中は誰もが嫌(いや)だが、ここで気分がよくなるマジックのようなSF話を一つ、お読みいただくことにしよう。^^
 とある村の敬老会の会場である。侘(わび)しく暮らす老人達にとって、婦人会の奉仕活動による年一回の敬老会は楽しみの一つになっていた。今年の出し物は、アマチュアながらもプロの腕を持つマジシャンによるマジックショーだった。
「ではっ! はいっ!!」
 マジシャンが片手の指を擦(こす)り合わせると、あら、不思議っ! 次から次へと指先から紙幣が現れ、雪のようにフロアへと落ちるではないかっ! 椅子に座った老人達から、思わずパチパチ…と拍手喝采が起きた。ところがそのとき、マジシャンはおやっ? と指先の異変に気づいた。よくよく見れば、用意していたネタの玩具(おもちゃ)の札(さつ)ではなく、手指から落ちているのは本物のお札ではないかっ! ショーの進行上、中断して見る訳にもいかず、マジシャンは仕方なく笑顔で続けざるを得なかった。次の演目(えんもく)に…とマジシャンは指を下ろそうとしたが、その意思とは裏腹に、お札は湧き出ることをやめず、現れては落ち続ける。そら怖(おそ)ろしくなったマジシャンの額(ひたい)からは、次第に冷や汗が滲(にじ)み始めた。その状態がしばらく続いたとき、ついにマジシャンは叫んでいた。
「だ、誰か、助けてくれぇ~!!」
 マジシャンはお札が湧き出る指を、まるで血が止まらない指のように持ちながら幕尻(まくじり)へと急いで走り去った。フロアの上には小さなお札の山が出来上がっている。最前列に座る老人の一人が椅子から立ち上がり、そのお札を一枚、拾うと見透かした。
「み、皆の衆! こ、こりゃ本物のお札だがっ!!」
 その声に、老人達はお札の山へと群(むら)がった。
「たっ! 助かるべぇ~~!!」
 その村の老人達は、俄(にわ)かに高額所得者になった。マジシャンの指から湧き出すお札は止まることを知らず、今も湧き続けているという。そんな状態のマジシャンがどうしているかって? そんなことはSF話だから、私が知る訳がない。^^

         
                  完

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2020年2月 9日 (日)

助かるユーモア短編集 (19)辛辣(しんらつ)

 少し小難(こむずか)しい辛辣(しんらつ)という言葉がある。辛(から)くて手厳(てきび)しい・・という意味だ。最近の国政を観るにつけ、国民に対する政府の対応は、どうも辛辣に思えてならない。例(たと)えば、貴重な企業の労働力である国民[労働者]を軽視する労働者派遣法もその一つだ。人件を使い捨て感覚にした法律では国力の回復や進展は望めないだろう。50年ばかり前は、労使関係は悪かったものの、最低限の雇用安定は終身雇用制で確保されていた。その点、今の時代は、黄門さまのようにお上(かみ)にもの申せ、強制力をお持ちのお方がおられなければ助かる者も助からない辛辣な時代なのである。^^
 二人の年金生活者がシトシトと降りしきる梅雨空を見ながら暇(ひま)そうに語り合っている。
「40年支払って3割も減らされたよ。28年しか懸けてない計算だっ! 加えて機械の入力漏れとかで、さらにだっ!」
「ああ、年金か…。アソコは辛辣だよ。民間機構になる以前から何かとトラブルがあったからなぁ~。まるで時代劇の悪代官だっ!」
「だなっ! 『フフフ…そちも悪(ワル)よのう!』などと言いながら政治資金をガッポガッポか…」
「そうそう! 時代劇なら、ここで懲(こ)らしめる主役の登場で助かるんだか…」
「今の時代、その主役がいないっ!」
「下々(しもじも)は泣くしかない訳か…」
「ああ。辛辣な時代だ…」
 辛辣な社会をバッタバッタと斬り倒し、国民が助かるヒーローの登場が待たれる訳である。^^

                          完

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2020年2月 8日 (土)

助かるユーモア短編集 (18)タイミング

 どこにでもいそうな普通の、しがない中年男が道をトボトボと歩いていた。すると、行く手の道の前方に財布らしきモノが落ちているではないか。男は早足でそのモノに近づくと、拾(ひろ)い上げて手にした。やはり財布だった。男はこれはこれはっ! と思わずニヤついて中を確認した。すると、中には小額紙幣が数枚と何枚かの硬貨が入っていた。男が拾った瞬間、心に描いたのは、『フフフ…十数万はっ! 拾って届けりゃ1割、いや! 2割は…。こりゃ助かるっ!』という下世話(げせわ)な思いだった。思いとは逆の中身の額の少なさに、男はガックリとテンションを下げた。しかし、一端、拾ってしまったからには仕方がない。また道に置いて去る・・というのも如何(いかが)なものか? と、思えなくてもいいのに思えた。男は少し戸惑いながら辺(あた)りを見回した。すると、有り難いことに目の前には迷いを去る交番があるではないか。男は絶妙のタイミングに、助かった!!…と、心から思った。
 助かる運のいいタイミングが、あることはある・・というお話だ。囲碁や将棋を打ったり指されたりする方は、もっともいいタイミングを、よくお分かりだろう。^^


                           完

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2020年2月 7日 (金)

助かるユーモア短編集 (17)鬱陶(うっとう)しい

 これといって、はっきり感じる心の悪さや嫌(いや)さではない雰囲気や状況を鬱陶(うっとう)しいと人は言う。この鬱陶しさがない雰囲気や状況を人は生活で求めている。快適さ・・である。湿度が高くジメジメと降る梅雨(つゆ)は鬱陶しく、晴れ間が広がり、快適な風が戦(そよ)ぐ気候が快適なのは誰しもだろう。蝸牛(かたつむり)さんや蛞蝓(んーなめくじ)さんなどは別だろうが…。^^
 とある下町の大衆食堂である。今日も近くの工場の連中でごった返している。
「へいっ、上がったよっ! 木の芽丼!」
 店奥の厨房(ちゅうぼう)から店主の威勢のよいかけ声が響く。
「はぁ~~~いっ!」
 若い女子店員がバタバタ…と早足で取りに急ぐ。
「ふふふ…可愛いんだがなっ! どうも小忙(こぜわ)しいのが鬱陶しい」
「ああ…」
 二人の若い工員がニタついて悪口を叩(たた)く。そこへ工場の班長が仏頂面で店へ現れた。むろん、昼時だからだ。
「おいっ! さらに鬱陶しいのが…」
「んっ? …だなっ!」
 二人の若い工員は身を小さくして押し黙った。その理由は、この班長が鬼班長と呼ばれ、工員達に恐れられていたからだった。店の中は一瞬にしてお通夜になった。そこへ神仏の助けか、鬱陶しさを消す陽気で明るい人物が現れた。万年課長代理である。
「ははは…今日も込んでるなっ! なにより、なにより…」
 万年課長代理は訳の分からないことを言いながら店億の席へ進んだ。店内は万年課長代理の登場に鬱陶しさが消え、後光が射したかのようにふたたび賑(にぎ)やかになった。
「有り難いっ!!」「助かるっ!!」
 若い工員二人は、思わず万年課長代理の後ろ姿に合掌(がっしょう)した。
 鬱陶しい雰囲気や状況は、逆効果で解消できる・・という単純明快なお話である。^^

         
                  完

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2020年2月 6日 (木)

助かるユーモア短編集 (16)心構(こころがま)え

 何事をするにも心構(こころがま)えがあるかないかでは、その後の結果に大きな差異を生じる。ああして、こうして…と前もって考えるだけではなく、もしホニャララになった場合は…と、上手(うま)くいかなかったときの傾向と対策を心構えとして考える訳だ。まあ、受験を控(ひか)えた学生さんなら、よくお分かりだろう。^^
 とある繁華街のとある牛丼チェーン店へ、一人の男が買い物に行こうとしていた。男はすでに用意周到(よういしゅうとう)な心構えで店へ向かう積(つ)もりでいた。男は持ち帰り用のすき焼き弁当を買おうとしていたのである。男の心構えとは、次のようなものである。
[1]店は10:30開店だが、今の時間は11:20だから何の問題もない。
[2]雨が降っていないから、自転車でOK!{雨なら車だが…}
[3]で、すき焼き弁当+とん汁+おしんこセット=中盛り=¥650 だから、¥650×1.08{消費税}=¥702 だから、小銭も含めてつり銭なしにしておく。
 などというものだった。
「…はいっ! すき焼き弁当・とん汁・おしんこセットの中盛りですね? おかけになって、しばらくお待ち下さいっ!^^」
 店員の言葉で、男は、よしよし! っと順調な進行にしたり顔で椅子へ座った。しばらくして、店員が声をかけた。
「お待たせしましたっ! ¥702ですっ!^^」
 男は、ふたたび、よしよしっ! とニヤけ、したり顔になった。計算どおりの金額を準備していたからである。支払いを終え、すき焼き弁当の入った袋を手に、男はルンルン気分で家へ向かった。ところが、である。男は重要な心構えを見落としていた。自転車の運転で袋が揺れて蓋(ふた)が開き、中身が零(こぼ)れることを予想していなかったのである。結果、男は雑然とした袋の中のすき焼き弁当を食べる破目になってしまった。それでも男は、まあ、いいか。買えたし、味は変わらんからな…と、その雑然と乱れたすき焼き弁当を完食した。
 心構え通りにならず失敗したとしても、思いようによっては助かる訳だ。^^

    
                        完

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2020年2月 5日 (水)

助かるユーモア短編集 (15)軽い

 軽いと何事(なにごと)につけ、やりやすく、上手(うま)くいって助かる。というのは、考えが重いと、深くアレコレ…と先を読み過ぎるから、思い通りにならない場合、戸惑(とまど)って上手くいかず、助からない訳だ。力を抜くと身体が水に浮かぶが、まあ、ソレとコレとは関係がない。^^ 手術の執刀、試験や面接、本番の舞台、相手方との契約交渉、演説など、リラックスすれば上手くいく確率が増すのは、心理面が深く考えず軽いから、目的に集中できる訳だ。生まれつき軽い人は、これは…なんとも言えない。^^
 昼休みの会社ビルの屋上である。二人の同期入社の中堅社員が話し合っている。
「君は課長補佐だからいいよな」
「なに言ってる。君こそ課長代理だからいいじゃないか」
「いやいや、課長代理は課長補佐の下だから君が次期課長さ、絶対!」
「いやいやいや、課長補佐の方が課長代理より下だから君さ、絶対!」
 二人は次の人事異動を重く考えていた。口では相手を立ててはいたが、その実(じつ)、内心では二人とも、『俺の方が課長さ!』と思っていたのである。そこへもう一人の同期社員がやって来た。
「どうしたんだ? 二人とも浮かぬ顔して?」
「いや、別に…」
「ああ…」
「そうか! 今日はいい天気だなっ! ははは…」
 その社員は係長だったから、取り分け、次の人事異動を意識していなかった。どちらにしろ課長にはなれない…と踏(ふ)んでいたから気分が軽い訳である。
 そして、人事異動の日が巡った。結果は、係長の男が抜擢(ばってき)人事で課長に昇進する内示が出たのである。だから重いより軽い方が世の中は上手くいって助かる・・という一例である。^^

 

 ※ 時により、重い方が助かる場合もあります。^^

        
                  完

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2020年2月 4日 (火)

助かるユーモア短編集 (14)ダメージ

 心身に何らかの傷を追えばダメージを受けることになる。このダメージを早く解消できれば助かるのは当然だ。
 W杯ロシア大会たけなわの、とある会場である。決勝リーグに勝ち上がったまではいいが、サポーターも重なる応援に疲れ果て、かなりのダメージを受けていた。
「なに言ってるっ! これくらいのことでっ!! やってる選手の方々は、俺達以上にダメージを受けてるんだっ!」
「…」
 リーダーの一喝(いっかつ)に、言い返せない他のサポーターの面々は、無言で頷(うなず)く他(ほか)なかった。
 その夜のことである。リーダーは独りで密(ひそ)かに酒場で酒を飲みながら疲れたダメージを拭(ぬぐ)っていた。そこへサポーターの一人が現れた。
「なんだっ! いらしてたんですかっ!」
「…」
 言い返せないリーダーは無言で頷く他なかった。
 ダメージは早めに取り除(のぞ)かないとフィジカル[身体的]な面で勝てず、助かることにはならない。^^

          
                  完

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2020年2月 3日 (月)

助かるユーモア短編集 (13)疲れる

 動物は動けば当然、エネルギーを消耗(しょうもう)して疲れることになる。仕方がない現象だが、疲れることがなければいいなあ…などと呑気(のんき)に考えられるうちは、まだそんなに疲れていないことになる。^^ 疲れるまでに身体が立ち直れば助かるが、これは体調面の個人差や体調管理の違いで個人差が生まれる。疲れることを感じないホニャララな方法があれば、これはもう助かる騒ぎの話ではなく、非常に有り難いと言わざるを得ない。
 とある有名作家が必死に原稿を書いている。締め切りに追われているということもあってか、新聞社の編集員が応接室で待っている。そん
なことで、作家はなんとなく小忙(こぜわ)しい気分に追いやられている。よくよく考えれば、ここひと月ほどこの状態が続いており、作家の身体は完璧(かんぺき)に過労気味だった。それでも、編集者に追われる気分の作家は、『まるで、地獄の鬼に背中を鞭(むち)で打たれているようだな…』とブツクサ思いながら、入力する指を止めて疲れた腕を摩(さす)った。そして、これも疲れた肩を次に揉(も)んだ。そこへ、作家の妻が淹(い)れた茶を手盆に乗せて現れた。
「あなた、先ほどから豚岸(ぶたぎし)さんがお待ちよっ!」
「ああ…。あと30分ほどお待ち下さい、と言ってくれ…」
 作家は、豚でなく今夜は牛肉のスキ焼なら助かるが…と勝手なことを考えながら、疲れる肩をふたたび片手で揉み解(ほぐ)した。
 疲れるという究極の問題は、スタミナ補充で解決することは疑う余地がない。^^

 
                           完

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2020年2月 2日 (日)

助かるユーモア短編集 (12)バランス

 総(すべ)てに言えるのは、バランスが大事ということだ。バランスは、偏(かたよ)りがなく、均衡(きんこう)が保たれた状態をいう。偏れば均衡が崩(くず)れ、物事が悪い方向へ進む。例(たと)えば政治だと、一党が強いことで誤(あやま)った方針が正当化され、法案が通過して国民の暮らしが悪くなる・・といった具合だ。食事だと、栄養のバランスが崩れることで体調が悪くなる。経済だと、需要と供給のバランスが崩れることで景気が悪くなる・・といったところだ。このバランスを保つ方法や薬があれば人々は大変、助かる。
 とある未来の町の広場である。二人の女性が優雅に話をしている。一人は美人で色気はあるが、見るからにか細く、そしてもう一人はポッチャリといい感じながら、生憎(あいにく)、ブスで色気に乏(とぼ)しかった。そんな二人を遠目(ておめ)に見ながら、二人の男が好きなことを言い合っている。
「どちらも惜しいなぁ~」
「ああ…。バランスが大事・・ということだ。神様や仏様も、もう少しバランスを考えて下さりゃ、俺達も助かるんだがな…」
「ははは…まあ、なにかとお忙(いそが)しいと、ああいう手合いが生まれることになる訳さっ!」
「だなっ!」
 よくよく見れば、話し合っている二人の男も、一人はイケメンながら見るからにか細くひ弱で、もう一人の男も、体格は男らしく筋肉隆々でよかったが、生憎、ブ男で、とても助かりそうになかった。そのとき、大型ハイビジョンの街頭テレビのCMがタイミングよく流れた。
『整形?! そんな必要、もう、ありませんっ! キラリン、新発売っ!! あなたも美人や美男子に必ずなれますっ!』
「ああ、アレな。俺も試(ため)したが、一週間で戻(もど)ったよ、ははは…」
「一週間! ははは…リバウンド一週間は短いよなっ!! せめて、半年なら助かるが…」
「ははは…地道(じみち)なバランス養成だな」
「地道か…」
 助かるバランスは、地道な養成で生まれるようだ。^^

         
                  完

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2020年2月 1日 (土)

助かるユーモア短編集 (11)セフティーネット

 テレビで中継される国会の答弁や演説を聞きたくもないのに知らず知らず聞いていると[聞きたくなければスイッチを切ればいいじゃないかっ! と言われるのは当然です ^^]、セフティーネットとかいう言葉を時折り耳にする。セフティーネット? 何のことじゃ!? と思われる方もお有りだろうが、要は転落に備えた安全確保のための網(あみ)のことである。サーカスの綱(つな)渡りはよくご存知だろうが、綱の下に張られた網(あみ)・・を想像していただければいいだろう。網がないと落下した場合、不幸にも死ぬことになる。国民を守るセフティーネットだから、ないと国民は非常に危うい。国民が助かるためには永田町の諸氏が、もう少し一生懸命、頑張ってもらわないと困る。^^
 二人の暇(ひま)なお方が話をしている。
「来年から消費税が上がるらしい」
「ああ、それは知ってる。いよいよ首を括(くく)るときが来たな、ははは…」
「そんな大げさなっ!」
「それは冗談だが、そういう人も出るさ。国民の生活を保護するセフティーネットは必要だろうな…」
「減量ぜい肉取りナントカだろっ?」
「軽減税率!」
「そう、それっ!」
「飲食品だけでもなっ!」
「品分けが難しいそうだぜ」
「ああ、イギリスがそうだったらしいが、簡単なことさっ! 口に入るものは全部でいいんだっ!」
「なるほどな…。お前が総理大臣になったらどうだっ?」
「ははは…家の掃除をする者がいなくなるから困るっ!」
 二人の雲の上のような話は尽きなかった。セフティーネットが雲の上では、助かるかどうか? は危(あや)うい。^^

          
                  完

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