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2020年3月

2020年3月31日 (火)

助かるユーモア短編集 (70)雨が降らない

 最近の気候は異常気象らしく、まったく雨が降らない。この現象が始まったのが、まだ歴史的に浅いこともあり、異常だ! とかなんとか、一般人は言っているが、学者に言わせれば、今後は常態化して異常と言えなくなるそうだ。異常とは、今までの水準をとは違う状況を指す言葉だからだ。雨が降らないと、田畑の作物が大いに困り、『困ったことですっ!』とは言わないだろうが、弱ることは私にも分かる。^^
 とある田舎である。田畑の作物は猛暑を超える連日の酷暑に喘(あえ)いでいる。日差しが強まってきた9時過ぎ、畦道(あぜみち)で二人の年老いた農夫が話している。
「いやぁ~、まったく雨が降らんがいろ!」
「ああ…。困ったもんだがやっ!」
「やっとかっと、ならんかねぇ~?」
「ははは…どうしようもないがいちゃ。そん頼みは、家(うち)の、か母(かぁ)に小遣(こずか)いせびるよりゃ~難しい~難題だがやっ!」
「ははは…そいじゃ、おしまいなはんせ…」
 二人は各自の田畑へと別れていった。
 雨が降らない田舎(いなか)では、まだ笑えるゆとりがあって助かるが、都会では、だら過ぎて助かるかどうか? は定かではない。^^

         
                  完

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2020年3月30日 (月)

助かるユーモア短編集 (69)地球

 年々、地球が温暖化しているという。専門的なことはさっぱり分からないが、猛暑続きで夕立すら降らない昨今(さっこん)の気候を実感していると、頷(うなず)かざるを得ない。このままグラフの右肩上がりを続ければ、恐らく地上の生物は危機を迎えるだろう。当然、人もその道を辿(たど)ることになる。そうならないよう助かる手立ては? だが、あることはある。それは、人が文明を捨て、もう一度、自給自足の自然な暮らしに戻(もど)ることだ。しかし、今の文明にドップリと機械生活に浸かった我々には及ばぬところだろう。だから地球は危ういのである。^^
 どこにでもいるような二人の男が、どこにもいない天才にでもなったような顔で話をしている。
「君ね。そうすると、地球の全生命は危ういじゃないかっ!」
「まあ、そういうことだ。少し化石化燃料を使い続けた、その報(むく)いさ、ははは…」
「笑ってる場合じゃないだろっ!? 何か助かるいい考えはないのかっ!?」
「ははは…あることはあるさ。但(ただ)し、それには大きな条件が一つある」
「機械文明だろ?」
「おお! よく分かったな。さすがは君だけのことはある!」
「地球を救うか、僕達の手で?」
「ああ、いいだろっ! この話は二人の秘密だっ!」
「分かったっ!」
 二人の男はどちらからともなく手を差し出し、握手をした。そのとき、教室にチャイムが鳴り渡った。休み時間が終ったのである。
 地球は文明を捨てれば助かるようだ。^^

         
                  完

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2020年3月29日 (日)

助かるユーモア短編集 (68)オブラート

 お年を召された方なら、よくご存知だと思うが、以前はカプセルというものがなく、粉の薬はオブラートと呼ばれる溶けやすいデンプン質の薄い半透明の膜で包んだものだ。オブラートのような働きを人の言動にも当てはめ、オブラートに包んで言って下さい! などと表現することも出来る訳だ。遠回しに暈(ぼか)す効果があることから、物事に角(かど)が立たず、トラブルが未然に防げて大いに助かることになる。ただし、包み過ぎると、何を言いたいのか分からなくなるから、注意を要する。^^
 とある区役所の商業観光課である。
「君ねぇ~、すでに西軍は岐阜、大垣くんだりまで進出しとるんだぞっ! 分かってるのかっ!!」
「…? はあ…」
 課長、清須のオブラートに包んだような会話の意味が理解出来ず、徳秀は虚ろに返した。
「なにがなんでも大御所が到着されるまでに手立てを講じねば…。おいっ! 徳秀君、君の手腕にかかっとるんだっ!」
「? …なにがでしょ?」
「決まっとるじゃないかっ! オリンピックだよ、オリンピック!!」
「? オリンピックはまだ先の話ですが?」
「それはそうだが、手を打たんとっ!」
 徳秀は手を打つ意味が分からず、もう少し、分かりよく言ってもらえると助かるのにな…と、思いながらオブラートに包まれた。
 オブラートに包み過ぎると意味が分からず、助かるものも助からなくなる・・というオブラートに包んだようなお話だ。^^

        
                  完

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2020年3月28日 (土)

助かるユーモア短編集 (67)登山

 夏の日差しを浴び、標高三千m級の山へ登り始めたのはいいが、途中で水筒を忘れたことに気づき、「おっ! お前は何をやっとるんだっ!!」と、リーダーの繭(まゆ)に怒鳴(どな)られた高桑(たかくわ)だったが、今更(いまさら)引き返す訳にもいかず、『さあ、どうしらいい…』と、困り果てていた。
「忘れたものは仕方なかろう! 水場(みずば)は、と…」
 さすがにリーダーだけのことはあり、繭は落ち着き払ってマップを見た。
「ああ! 高桑、この先の右に沢だっ!」
「はいっ!」
 高桑は、これで助かるぞ…と思いながら、右手の下り坂を下りていった。幸い、まだ登り始めで、水場までの高低差は小さく、水を入れる容器も空のペットボトルが2本、他のメンバ-から貰(もら)えたこともあり、なんとか事無きを得られるようだった。だが、高桑が水場で水を確保した直後、天候が急変し、繭の判断で、全員、元の山小屋へ引き返すことになった。山小屋には忘れた水筒があるから、丁度(ちょうど)いいや…と、高桑は自分のミスも忘れ、ニンマリした。
 夏山で助かるには安全が第一・・というお話である。^^

                            完

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2020年3月27日 (金)

助かるユーモア短編集 (66)ようやく

 日没が七夕(たなばた)前の7/6[2018]を皮切りに少しづつ早まるようになると、猛暑日(もうしょび)と言うよりは酷暑日(こくしょび)と言った方がいいような夏の熱気も、ようやく下火(したび)の気配を見せ始め、人々は少なからず助かることになる。なにせ、それまでは日中に出歩こうものなら、天日干(てんびぼ)しに出食わしたような熱気で熱中症になり、そのままチィ~~ン! とお参りされるようなことにもなりかねなかったからである。日中に出歩(である)いて助からないよりは、出歩かない方が助かる訳だ。^^ この場合の[助かる]は、生命にかかわる事態だから、笑い話では済まされない。
 仲のいいご隠居二人が冷えたスイカを食べながら話をしている。
「ようやく熱気が和(やわ)らぎましたな…」
「はい…八月が始まったばかりですがな…」
「ようやくも、まあ形だけで、まだまだこれからですな…」
「そうそう! 最近のようやくは侮(あなど)れませんっ!」
「ようやく・・と思わせておいて、油断したところで猛暑をっ! ですかっ?」
「はい! なかなか強(したた)かですからな、最近の天気はっ!」
「日射病の頃が懐(なつ)かしい…」
「はあ…昭和三十年代ですなっ!」
「あの頃は、せいぜい31、2℃で、ようやくもようやくでした…」
「そうそう! 季節にメリハリがありましたな…」
 そう言いながら、二人のご隠居は、ようやく重い腰を上げた。数時間、飽きもせずスイカ数切れで語り合っていたのである。^^
 ようやくはメリハリがつかないと、実感が乏(とぼ)しいようだ。^^

         
                  完

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2020年3月26日 (木)

助かるユーモア短編集 (65)食べ頃

 食べ頃・・食べること以外でも使われる言葉である。まあ、フツゥ~は丁度(ちょうど)いい具合に物が食べられる状態になっている場合を指すが、比喩(ひゆ)として男性が女性に対して言う下卑(げび)た言い方もある訳だ。ただ、食べ頃でも、食べる人が食べたいっ! という気分でないと、なんの意味もなくなる言葉だ。^^
 スーパー豚野(とんの)の食品売り場である。一人の主婦が、同じ品を手にしては放(はな)し、放しては手にする仕草を繰り返している。買おうか買うまいかを決めかねているのである。そこへ、近所の主婦が通りかかった。
「あらぁ~? どうされましたの、馬毛(まげ)さん?」
「えっ? あら、舌牛(したうし)さんじゃありませんのっ!」
 馬毛は、嫌なところを見られたわ…くらいの気分で、話題を逸(そ)らした。
「食べ頃の美味(おい)しそうな桃ですことっ!」
「そうなんですけど、お値段がちょっと…。もう少しお安いと助かるんですけど…」
「あら、確かに…少しお高いかしら? スーパー角鹿(つのじか)でしたら、コレと同じ品が2割ほど安かったと思いますわよ」
 舌牛は親切に馬毛へアドバイスをした。
「あらっ! 有難うございますっ!」
 馬毛は、すぐにスーパー角鹿へと向かった。
「すみませんっ! つい今しがた、売り切れちまったんですよっ!」
 馬毛が訊(たず)ねると、スーパー角鹿の店員は、申し訳なさそうにそう返した。
「売り切れたの? 仕方ないわね…」
 馬毛は、スゴスゴとまたスーパー豚野へと戻ったが、すでに先ほどの食べ頃の品は売れ切れていた。 
 このように、食べ頃は待ってはくれないから、手に入れられるときに手に入れよう。そうすれば、食べられるから、助かることになる。^^

                            完

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2020年3月25日 (水)

助かるユーモア短編集 (64)謎(なぞ)を呼ぶ

 どうしても不可解で分かりにくい内容が生じた状況を、人は[謎(なぞ)を呼ぶ]と表現する。難解な事態に至った場合は、さらに強調して[謎が謎を呼ぶ]などとも言う。別に呼ばなくてもいいのに呼んでしまう訳だ。^^ 昨今(さっこん)、流行(はや)りのサスペンス・ドラマなんかでは、特にこの傾向が強い。ドラマの場合だと、謎が謎を呼んだ挙句(あげく)、迷宮入りする・・ということはなく、すべてスンナリと解決して助かる筋(すじ)立て[プロット]‪になっている。だが、現実の社会では謎が謎を呼んでばかりで、警察諸氏の努力にもかかわらず未解決事件が頻繁(ひんぱん)に横行している事実は、実に嘆(なげ)かわしいと言わざるを得ない。^^
 夏休みということもあり、夫、妻、子供の五人家族が車でとある観光地へ小旅行に出かけた。出かけたのはいいが、高速道のサービスエリアへ車を乗り入れたとき、問題が起こった。
「父さん、ガソリン入れてくるから、皆(みんな)先に何か食べていてくれ…」
「分かったわ。それじゃ…」
 妻と子供三人が車から降りようとしたときである。
「おい、財布!」
「財布? 財布は出がけにあなたに渡したじゃないのっ!」
「馬鹿言えっ! 渡されたけど、『トイレにいくからお前持っていてくれ』って返したじゃないかっ!」
「そう言われたけど、『財布くらい持っていなさいよっ!』って、また渡したじゃないのっ!!」
「…そうだったか? じゃあ,財布はどこへいったんだっ!!」
「知らないわよっ! まさか、勝手に歩きゃしないでしょ! あなた、どこかに入れ忘れたんじゃないのっ!」
「そう言われてもなぁ…」
 夫はズボンのポケット、服の内ポケット・・と、あちらこちら探し回ったが結局、なかった。
「困ったな…。ねえよっ!」
「困ることないよ、パパ。はいっ!!」
 そのとき、三才になる次男が財布を手渡した。
「… ああ、そうそう!! ははは…手渡したっ、手渡したっ!」
 夫はトイレの前でヒョヒョコ歩いていた次男に財布を手渡し、そのことをすっかり忘れていたのである。謎を呼んだ一件は、呆気(あっけ)なく解決を見て、家族は助かることとなった。
 このように、謎を呼ぶ出来事も、意外な結末で助かり、謎に帰ってもらうことも多々、ある。^^

          
                  完

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2020年3月24日 (火)

助かるユーモア短編集 (63)迷走

 本人にそうする気持はないのに、意思ではない状況に追いやられたとき、仕方なく、『じゃあ、そうするか…』などといった気分で、先が分からない道を辿(たど)ることになるのが[迷走]と呼ばれる動きである。著名(ちょめい)な一例として、時折り日本列島を窺(うかが)う奇妙な動きの迷走台風がある。太平洋高気圧に、『馬鹿野郎! こんな暑い最中(さなか)に姿を見せるなっ!』とかなんとか怒られ、仕方なく、『ど、どうも…』と、後ろから押される思いで進路を迷走する訳だ。^^ 迷走されることで被害となり、助かる命が助からなくなる・・といったことにもなりかねないから困る。
 二人の買い物客が、とあるデパートで立ち話をしている。近所の知り合いらしく、話す内容もザックバランだ。
「おやっ? こんなところでお買い物ですか?」
「ははは…レイアウトが変ったもんで、迷走しております。で、あなたは?」
「ははは…実は私も、そのようです」
「最近は、なにごとにつけ、変化が激しい時代ですからな」
「そうそう! 氷のままであって欲しい訳ですが、すぐ、水になります」
「日が経(た)っても、氷ならいいんですが、水はそうは参りませんな」
「永久凍土から出土したマンモスの遺伝子からマンモスは生まれますか?」
「さぁ~それは? こんな時代に生まれれば迷走しますぞ、きっと! ははは…」
「ははは…」
 デバートで迷走した二人の話は尽きない。
 このように、迷走は笑い話の話題を呼んで助かる場合もある。^^

 

                          完

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2020年3月23日 (月)

助かるユーモア短編集 (62)済ます

 何か気がかりなことがあったとき、それを済まさないと気分が晴れない人と、まあ、あとからでもいいか…と、取り分けて気分が変わらない人・・との二通りがあることが分かる。執刀医が、ちょっと熱いココアでも啜(すす)るか…などと途中休憩を入れれば、手術した患者はチィ~~ン! と叩(たた)かれることになるだろう。^^
 お盆のシーズンということもあるのだろう。とある家ではご詠歌が♪どおぅ~~たらぁ~~こおぅ~~たらぁ~~♪と、いい声でガナられている。そして、ご詠歌が三十三番札所のほぼ半(なか)ばまでさしかかったときである。
「では…少し休憩をっ!」
 老人の声に、息子は『休憩するんかいっ!』と思ったが、とても言い返す勇気はなく、父親の言うに任(まか)せた。内心では済ませた方がいいよ…と思えたのだ。
 そして半時間ばかりが過ぎていった。
「じゃあ、そろそろ再開するか?」
「はいっ!」
 老人が立ち、息子が従ったときである。トゥルルルル…トゥルルルル…と、電話の祁魂(けたたま)しい呼び出し音が響き渡った。老人は、「なんだっ!」と、出鼻(でばな)をくじかれたからか、腹立たしく受話器を手に取った。
「… はい、そうですがっ! …はい! はいっ!! ええっ! はいはい! そうですかっ! ではすぐ参りますっ!」
「どうしました? 父さん」
「おい、喜べっ! 母さんが明日、退院できるそうだっ!! すぐ、病院へ行くぞっ!!」
「はいっ!! ご詠歌は?」
「ご詠歌など、気楽にやってる場合かっ!! こっちは生きとるんだっ!!」
「はいっ!!」
 息子は、すごすごと老人に従った。結局、途中休憩が仇(あだ)となり、済ますはずのご詠歌は済まされなかった。
 済ますときに済ませておかないと済ませなくなるから、済ますときには済まそう! という、ただそれだけのお話である。トイレも、そうですよっ!^^

        
                  完

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2020年3月22日 (日)

助かるユーモア短編集 (61)麺類(めんるい)

 麺類(めんるい)は湯がき時間によって硬すぎたり柔らか過ぎたりするから、なかなか湯がき加減が難しい。時間を計らなくても、食べごろの湯がき加減が分かれば大いに助かる。素麺なんかは割合いいが、パスタ系はなかなか手ごわく、アルダンテ・・いや、それは音楽記号だった。…そうそう! アルデンテである。イタリア地方のいい湯で加減のパスタの呼称だそうだが、芯が少し残ったぐらいが何故(なぜ)いいのか? が分からない。まあ、どうでもいい話だが…。^^
 二人の老人が話している。
「歯が不自由になってから、どういう訳か麺類が増えました。多いときですと、一日、三食とも麺の日があります」
「奇遇ですなっ! 私も麺類がほとんどです。ご飯はどうも入れ歯に合わないっ! 硬めに息子の嫁が炊いたヤツなんか、特にそうです。私を早くあの世へ行かせたいのに決まってますっ!」
「ははは…まあ、そんなことはないでしょうが。それにしても麺類は助かります」
「そうそう! 飽きませんから助かります…」
 そう言いながら二人の老人は熱い上がりを啜(すす)り、美味(うま)そうに大トロの寿司を頬張った。
 麺類に限らず、美味(おい)しいものなら人々は何でも助かる訳だ。^^

        
                  完

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2020年3月21日 (土)

助かるユーモア短編集 (60)交差

 山畑は久しぶりに休みが取れたこともあり、とある保養地Aへ車の旅に出た。最初は順調に国道を進み、目的地のほぼ3分の2地点まで来たときである。道が二手(ふたて)に分かれていることを示す道路標識が前方に見えてきた。道路標識は心積もりをさせるから大いに助かる訳だが、どういう訳か、この地の道路標識は表示が余りにも簡略化し過ぎていた。
『…なになに? 右手がA方面で左手がBCバイパスか…』
 山畑は単純にそう思えたから、車線を右へと取った。ところが、である。二手に分かれた道は大きく交差し、右手車線へハンドルを取った山畑はBCバイパス方向へと入ってしまったのである。国道交差する段階で、BCバイパスは上方向の架橋上へ、国道はその架橋下を通っていたのである。
『こ、こんな馬鹿なっ!! 騙(だま)しじゃないかっ!!』
 いくら山畑が心の中でムカつきながら怒っても、すでに後(あと)の祭りで、車はスイ~スイ~と気持ちよさそうにBCバイパスの入路ゲートに向け走行していた。山畑は助からんっ! と思った。バイバス方向の道から何か抜け出せるいい方法はないか…と山畑がキョロキョロしていると、左前方に[A方面へ]の標識と下り道が見えてきた。山畑は、やれやれ…と、ようやく安息の息を漏らした。
 このように交差したからといって必ず逆方向へ行くとは限らないと心に留めておけば、間違いも少なくなって助かると、まあ話はこうなる。^^

          
                  完

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2020年3月20日 (金)

助かるユーモア短編集 (59)許容範囲(きょようはんい)

 人が耐え忍ぺる限度はそれぞれ違い、その行為の許される限度が変化する。その人が受け入れられる範囲は許容範囲(きょようはんい)と呼ばれる。許容範囲が広い人は、「あの人は、よく出来た、いい人だよ…」などと陰(かげ)で囁かれたりする。囁かれたくて、意識して許容範囲が広いように見せる人も当然、出てくる。だがそれは、純金ではなく上辺(うわべ)だけの金メッキで、すぐ剥(は)げたりバレたりする。^^
 とある神社の縁日(えんにち)である。多くの露天が出て、多くの参詣客で賑(にぎ)わっている。その中の三人が鉄板焼き蕎麦(そば)の屋台前で話している。
「いやいや! そういう下世話なものは私、口にしないんですよっ!」
「そうなんですか? ここのは美味(おい)しいのになぁ~! じゃあ、ここで待ってて下さい。すぐ食べてしまいますから…。親父さん、二人前、お願いしますっ!」
「へいっ!!」
 露店商は、嫌味(いやみ)を言った男をギロッ! と一瞥(いちべつ)したあと態度を豹変(ひょうへん)させ、注文した二人に愛想笑いした。
 しばらくすると、鉄板焼き蕎麦のいい匂いが辺(あた)りに漂(ただよ)い始めた。そのとき、嫌味を言った男の腹がグゥ~~!っと鳴った。
「…わ、私も向学のため、ひとつ食べてみましょう!」
「そうですか? じゃあ、もう一人前っ!」
「へいっ!」
 露店商は仏頂面(ぶっちょうづら)で、『下世話なものを食うんかいっ!』と切れかけたが、あとの二人の態度で許容範囲が広がったせいか思うに留(とど)め、小さく返した。危うく、トラブルになるところだったのである。
 このように許容範囲外でも、取り巻く環境で範囲が広がって助かることもある訳だ。^^

         
                  完

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2020年3月19日 (木)

助かるユーモア短編集 (58)程度

 程度・・なんとも分かりにくいファジーな言葉ながら、この言葉の曖昧(あいまい)さで大いに助かることが結構ある。例(たと)えば、「ああ、その程度でいいよっ! 有難う…」と言われた場合、言われた側は、『この程度でいいんだ…』と、数値的に、はっきりしない感じを思う。ところが、次回に同じ程度にしたところが、「ダメダメっ! もっとやってもらわないとっ!」と怒られたりする。言われた側は、『馬鹿野郎! いったい、どの程度なんだっ!!』と、怒られた以上に怒れる。^^ こんな漠然(ばくぜん)とした言葉が程度なのだが、「まっ! 少し違うが、いいだろう!」と、ほぼ正解という程度で許されたりもする。ただ、ほぼは、ほぼであり、ソレではないから、本人が有頂天になるほどのことではない。^^
  猛暑が続く、とある夏の午後である。
「お父さま! スイカを切りましたわっ!」
 滾滾(こんこん)と湧き出る洗い場の冷えた水で身体を拭(ふ)く隠居の恭之介が、息子の嫁の未知子に声をかけられた。
「未知子さん、どうも、すいません…」
 いつも厳(きび)しい恭之介だったが、未知子には青菜(あおな)に塩で、この日も、すぐ萎(な)えるのだった。しばらくして、縁側へ腰掛けた恭之介に、未知子が手盆の冷えたスイカのスライスを勧(すす)める。
「塩加減が少し弱かったかも知れませんが、お塩、振っときましたわ」
「いや、どうも…」
 恭之介は手盆の上のスイカの一切れをたったの三口(みくち)で食べ尽(つ)くした。
「おお! ちょうどいい塩加減です。この程度が一番、いいんですっ!」
 塩加減が少し弱い・・と言われた恭之介だったが、思った以上に塩が効いていて少し塩辛かった。それでも出た言葉は思った言葉ではなかった。やはり、未知子には程度など関係なく弱い恭之介だった。それでも、未知子はそう言われたことで傷つかず、助かることになった。
 毎度、おなじみの、湧水家の夏の一コマでした。^^

 ※ ふたたび、風景シリーズのお二方(ふたかた)にスピン・オフでご登場いただきました。^^

        
                  完

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2020年3月18日 (水)

助かるユーモア短編集 (57)お手上げ

 物が傷(いた)んだとき、なんとかしよう! と意気込んでも、手の施(ほどこ)しようがなかったり、その対応がまったく分からなかった場合を[お手上げ]と人は言う。別に手を上げず、下げていたとしても、それはお手上げなのである。^^ 
 最近の電気機器は個人で修理しにくい専門部品、特に電子部品を多量に使っているから、[お手上げ]となり易(やす)い。こんな場合は専門家の情報を得ることで、対応や買い替えがスムースに進めば、助かる。[お手上げ]は困るが、いいことがあったときに思わず万歳(ばんざい)する[お手上げ]は全然、困らない。^^
 とある大衆食堂である。冷蔵庫のコンプレッサーが損傷して冷えなくなり、どうしようもなくなった下手(したて)は、なんとか、[お手上げ]の状態から抜け出そうと、近くの馴染(なじ)みにしている大衆食堂へと出かけた。暑い最中(さなか)のこともあり、新しい冷蔵庫が来るまで食品の買い置きが出来なくなったためである。
「おやっ! 下手さんじゃないですか。これはお珍しい~! 長い間、お見限りでしたから、どこかお悪いじゃないかと家(うち)のヤツと言ってたんですよっ!」
「ははは…そんなことはないんですが、仕事の関係で…」
「そうそう!! この前の新聞、見ましたよっ! すごいですねぇ~! リゲル新人賞と植木賞でしたか? ここいらの者(もん)は鼻高々ですよっ! で、今日は、どうなすったんですっ?」
「いやなに…。[お手上げ]になったもんでね」
「? [お手上げ]? よく分からねぇ~や?」
「ははは…親父さんには分からんでしょう。コレがコレになった訳ですよっ!」
 下手はジェスチャーで、コトの仔細(しさい)を説明しようとした。
「…ええ。…食えなくなったから…[お手上げ]で来なすったとっ?」
「ああ、まあ、そうです。実は、冷蔵庫が傷みましてね…」
「ははは…そりゃ、まったく[お手上げ]だわっ!」
「手を上げてちゃ、モノが書けませんっ!」
「上手(うま)いっ!!」
「ははは…そう言って下さると助かります」
 助かるのは、[お手上げ]になった場合、どういう訳か上手いダジャレが浮かぶことのようだ。^^

       
                  完

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2020年3月17日 (火)

助かるユーモア短編集 (56)粗製乱造(そせいらんぞう)

 世の中が、こうも進歩してくると、物が巷(ちまた)に満ち溢(あふ)れて有り余る時代になり、良い物を市場(しじょう)に提供する余裕が絶たれ、質の悪いものが出回るようになってくる。粗製乱造(そせいらんぞう)の時代の到来(とうらい)である。困ったことに、その意識が造り手側に乏(とぼ)しいから、益々(ますます)、粗製乱造になっていくのは嘆(なげ)かわしい。もっとも分かりやすい例はテレビドラマだが、視聴率の関係からか、数ヶ月も続かずに打ち切られる作品も多々ある。某局の1年続いていた朝のテレビ小説でさえ半年でポシャる。これからっ! と盛り上がってきた頃に新番組みが始まるのだから、これはいただけず、返却したい。^^
 とある玩具(おもちゃ)屋の店内である。夏休みということもあり、子供が朝から屯(たむろ)している。
「これこれ君達っ! 夏休みの宿題は済んだのかいっ? 来てくれるのは有り難いが、うちも商売だから買ってくれないと…」
「おじさん! コレの傷(いた)まないのあるっ?! この前のヤツ、傷んじゃったんだよっ! 最近の、すぐ傷むねっ!」
「ああ。それを言われると、おじさんも辛(つら)い。粗製乱造が増えたからねぇ~。売れりゃいいっ! それでお終(しま)いっ! 傷んだら新しいのと買い換えて下さい! だよ。直さないねぇ~。傷まないのが増えりゃ、おじさんも助かるんだけどな」
「そら、そうだよっ! おじさんが直しなよっ! 直りゃ、僕も助かるからっ!」
「えっ?! おじさんが、かいっ? ははは…おじさんは商売人だからなぁ~」
「直せる玩具屋って、いいぜっ! やりなよっ!」
「ははは…ひとつ、やってみるかっ!」
 次ぎの日から玩具屋の修理技術取得の猛勉強が始まった。そして一年後、その玩具屋は粗製乱造で傷んだ玩具を[直せる玩具屋]として再出発し、今や全国にチェーン店を展開するまでに至っている。
 粗製乱造された物は、修理するケア[世話、配慮、気配り、手入れ、メンテナンスなどをすること]で助かる・・という今の風潮に物申すお話である。^^

                            完

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2020年3月16日 (月)

助かるユーモア短編集 (55)日陰(ひかげ)

 猛暑(もうしょ)が続いている。もぅ~~しょ~がないっ! などとダジャレを言っている場合ではない。生命の危機が叫(さけ)ばれる酷暑(こくしょ)なのである。それでも助かるのは、日差しを遮(さえぎ)る日陰(ひかげ)があるお蔭(かげ)だ。海水浴でもビーチパラソルとか呼ばれる日避(ひよ)けの大傘(おおがさ)を砂浜に立てるが、この日陰がなければ、灼熱(しゃくねつ)の太陽の下(もと)、コンガリと焼けた美味(おい)しい秋刀魚(サンマ)に海水浴客が変身してしまうことは疑う余地がない。^^
 近所のご隠居二人が縁台(えんだい)将棋を指している。
「暑いねっ!」
「ああ、暑い暑いっ! だが毎年、この日陰で指さないと夏が来たと思えねぇから不思議だっ!」
「ちげぇ~ねぇ!」
「この日陰があると、どういう訳か落ち着けて助かるなっ!」
「だなっ! そこへ、スイカの冷えたスライスなんぞが運ばれてくりゃ~尚更(なおさら)だっ!」
 隠居はそう言いながら、催促(さいそく)するかのように少し離れた台所の方を見た。すると、息子の嫁がいいタイミングでスイカの冷えたスライスを手盆(てぼん)に乗せて運んできた。
「冷たいうちに、どうぞっ!」
「これは、助かるっ!」
 二人は顔を見合わせ、ニヤリとした。
 夏の日陰にスイカのスライスが運ばれてくると助かる・・という暑い暑い夏の馬鹿げたお話だ。^^

          
                  完

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2020年3月15日 (日)

助かるユーモア短編集 (54)虫刺され

 外で庭木の剪定作業をしていて蜂に刺されることがある。別に刺されるのは蜂に限ったことではないが、軽く済めば助かる。重い場合は大事(おおごと)になることもあり、酷(ひど)いときは助からず、天に召(め)されることにも成りかねない。^^ 刺す側は無論、悪いが、刺されるには刺されるだけの理由や状況が考えられ、刺される側にも相応の落ち度があると考えるのが大岡裁きというものだ。^^ 分かりやすく言えば、そんな危険な所へ近づかなきゃいいだろっ! ということに他ならない。^^
 暑い盛り、朝のうちに庭木の刈り込みをしてしまおう…と思った株木(かぶき)は、木の枝に潜(ひそ)んでいた足長蜂に迂闊(うかつ)にもチクッ! と額(ひたい)と手首(てくび)の二ヶ所を刺された。横から見ても縦から見ても、これはもう、はっきりとした虫刺されである。株木は蜂がいたことを知らず、蜂にしたって株木が現れることを知らなかった訳だ。蜂に聞いたところ、『私は巣を作ろう…と目論(もくろ)んで木の枝にいた訳ですが、知らずにテリトリーへ進入した株木さんを瞬間、敵! と思ったもんで、つい防衛本能で刺してしまったんです…』と言う[想像です^^]。幸いにも、株木がすぐ追い払ったこともあり、刺し傷は少々の腫(は)れくらいで大事に至らず、アイシング[冷却処置]で治療されることになった。株木はアイシングをしながら、ふと思った。この痛みも、サッカーでタックルされた選手がアイシングする痛みよりは、ましか…と。
 虫刺されも、考えようによっては見方が変って腹も立たず、助かる・・という馬鹿げたお話である。^^

 
                         完

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2020年3月14日 (土)

助かるユーモア短編集 (53)肩透(かたす)かし

 年に六場所、開かれる大相撲で、よく見られる決まり技(わざ)に[肩透(かたす)かし]というのがある。まあ、[突き落とし]も、よく見聞きするが、[肩透かし]は大相撲以外でもよく耳にする言葉だ。助かるのは[肩透かし]になる場合、ビミョ~~なタイミングのズレで起こる場合が多く、双方が直接、体(たい)を合わせてぶつかることが少ない点だ。まあ、この点は[突き落とし]も同じだが、サスペンスじゃあるまいし、崖(がけ)からの[突き落とし]は怖(こわ)いから、今回、[突き落とし]は外(はず)すことにしたい。^^
 二人の営業社員が夏の暑い昼日中、強い陽射しを避(さ)け、ビルの陰で隠れるように話をしている。
「いやぁ~参(まい)ったよっ! 肩透かし、食らっちまったっ!」
「ええぇ~~!! そんな馬鹿なっ! 君が契約、出来そうだからって携帯くれたから、このクソ暑いのに、本社から飛んで来たんじゃないかっ!」
「まあ、そう言うな。俺だって、まさか、こんな大手が肩透かしをやるとは思ってなかったからな」
「まあ、食らったものは仕方ない。しかし、先方だって困るだろうが…」
「いや、二股(ふたまた)ということも考えられる…」
「別会社の条件がよかった訳か?」
「ああ、おそらく…」
「振られたものは仕方がないっ! また、いい相手、探すさっ! 美人のなっ!」
「ははは…だなっ! 態々(わざわざ)、来てもらったんだから鰻重くらい奢るよっ!」
「ああ。まあ、それくらいはしてもらわんとっ! 土用の丑だしなっ!」
 二人は汗をハンカチで拭(ふ)きながら鰻専門店の方へと消えていった。
 土用の丑の日に鰻屋が閉まっている確率は低く、二人は肩透かしを食わず、美味(おい)しい鰻重が食べられるだろう…とは推測されるが、[内股透かし]という決まり技(わざ)があるくらいだから、柔道にも[肩透かし]という決まり技があったら助かるな…と、ふと思った次第である。^^

                            完

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2020年3月13日 (金)

助かるユーモア短編集 (52)頑張り過ぎ

 頑張り過ぎっ! と自分に強く言い聞かせるようにすれば、なんとか休めたりなんかして助かる。^^ 別にズルをする訳ではなく、暑い盛りなどは非常に重要なことである。これをしないで炎天下についフラフラと出て、しなくてもいい雑事をやった挙句(あげく)、頑張り過ぎてブッ倒れ、病院搬送・・なんてことになる。要は、チ~~ン! と鳴らすのではなく鳴らされる憂(う)きに遭(あ)うということだ。これでは頑張れない。^^
 とある老舗(しにせ)の魚屋である。
「朝から暑いねぇ~! こんな早くから店、開けるの?」
 通りかかった男が店の主人に訊(たず)ねるでなく窺(うかが)った。
「いやぁ~お客さん! こう暑くっちゃ商売になりませんからねぇ~。なにせ、お客さんが昼日中は買いに来やしない。夏場冬場はダメでしてね」
「朝、早いと来るの?」
「…ええ、まあ。ご近所の常連さんがいらっしゃいますんでねぇ~」
「昼間はどうしてるの?」
「昼間ですか? 昼間は、ははは…頑張り過ぎないように冬眠ですわっ!」
「冬眠? そりゃ、いい…」
「冷凍庫の別室へ入ってグ~スカとっ!」
「昼寝ねぇ~。いいご身分だっ! ははは…あやかりたいねぇ~、それじゃ!」
 通りかかった男は流れる汗を拭(ぬぐ)いながら店前から消えた。
「確かに…こう暑くっちゃ」頑張り過ぎはよくないな」
 そう呟きながら、男の足は残業で頑張り過ぎている職場へと向かっていた。
 皆さん、頑張り過ぎて助かる命が助からないことにもなりますから注意しましょう! 頑張り過ぎ注意報、発令です。^^

          
                  完

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2020年3月12日 (木)

助かるユーモア短編集 (51)神業(かみわざ)

 もうダメだ…と思えたとき、神業(かみわざ)ともいえる奇跡の展開で助かることがある。この神業とは常識で考えられない不思議な力を指(さ)す。私が今から神業を見せる・・などと偉(えら)そうに嘯(うそぶ)く人は神業が出せないのは確かだ。^^
 とある競馬場である。今まさに世紀の一戦とも言える重賞レース、夏場記念が行われようとしていた。そのレースをスタンド席で見守る厩務員(きゅうむいん)、鬣(たてがみ)の姿が観戦席の中にあった。今日のこの一戦で鬣が世話をした馬、カバヤキドジョウが晴れて初出走することになっていたのである。
「鬣さん、どうなんでしょうね?」
 鬣の隣りの席に座る同僚の厩務員、毛並(けなみ)が徐(おもむろ)に訊(たず)ねた。
「ははは…毛並君、それが分かってりゃ苦労せんよ。まあ、二番手までは無理だろうから、五番手ぐらいまでに・・とは思ってるが…」
「なるほど…。勝ち鞍(くら)は神業でも出ないかぎり無理ですか…」
「出ないだろ、たぶん。ウナギホマレがダントツだからなっ!」
「味が違いますか?」
「ああ、値(ね)じゃ勝てるはずだがな、ははは…」
「確かに…」
 二人がペチャクチャやってるうちに、高らかにファンファーレが鳴り響き、出走となった。そして、しばらくしたレース後である。
「た、鬣さんっ!! やりましたねっ!!」
「ぅぅぅ…毛並君っ!!」
 鬣は意外な結果で助かることになり、歓喜(かんき)して咽(むせ)んだ。厩舎赤字経営改善のメドが立ち、助かったのである。カバヤキドジョウが神業で見事、重賞レース、夏場記念を征した勝因は、予想外の品不足による極端な高値のせいだった。^^

         
                  完

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2020年3月11日 (水)

助かるユーモア短編集 (50)接戦

 2チームで行われる競技で接戦となる試合は観ていて面白い。手に汗を握(にぎ)るような接戦で、試合の行方(ゆくえ)が分からない場合などは特にそうだ。こうした経過は視聴者や観戦者をして興奮の坩堝(るつぼ)へと誘(いざな)わせるから、大いに助かる。要は楽しませてくれる訳だ。観戦者や視聴者を代表して言わせていただくなら、必死にやっておられる選手の方々には誠に申し訳ない話だ。^^
 テレビ画面では、とあるW杯[ワールドカップ]の試合が行われている。観ている親子がブツクサと言い合っている。
「お、お前はっ! 汗を流されている方々に申し訳ないとは思わんのかっ!」
「そこまでは…」
「こういう接戦の場合は、どちらも贔屓(ひいき)なしで応援するもんだっ!」
「父さんはそう言うが、俺は◎だからなっ!」
「フンッ! 勝手(かって)にしろっ! わしは◎△とも、だっ!」
「それじゃ面白くないだろうが?」
「馬鹿か、お前はっ! 接戦は面白がるもんじゃないっ! 手に汗を握るもんだっ!!」
「手に汗を? そんなもんかなぁ~」
「ああっ! そういうもんだっ!! それで選手の方々も助かるっ!」
「いやぁ~助かるかなぁ?」
「助かるっ! 必ず助かるっ!!」
「負けた方は助からないと思うけどなぁ~…」
「いや、助かるっ! どちらも必ず助かるっ!!」
「そうなんだ…」
 息子は親の顔を立てたのか、その後は押(お)し黙(だま)った。
 接戦は双方ともに助かるのである。^^

          
                  完

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2020年3月10日 (火)

助かるユーモア短編集 (49)トラブル

 社会的な事故をトラブルという。こんな事態には巻き込まれたくないものだが、万一、トラブルになったとき、スンナリと解決すれば、それはそれで助かる訳だ。助かる場合だが、これには特定の要件が存在することが分かる。例えば、喧嘩(けんか)を吹っかけられても、一方が冷(さ)めていればトラブルにはならない。点火源があっても、可燃物や酸素供給源がなければ着火しない・・という危険物の免許を持っておられる方ならよくご存知の要件である。^^
 とある繁華街で酔っ払い同士のトラブルが発生しようとしていた。当事者は薪(たきぎ)という中年男と燃火(もび)という若者だった。燃火は完全に頭にきていて、今にも薪に掴(つか)みかかろうとしていた。そこへタイミングよく通りかかったのが、警邏中(けいらちゅう)の交番巡査、水掛(みずかけ)だった。
「や、やめなさいっ!!」
 水掛はトラブルを鶴の一声で食い止めた。まるで、バケツの水を二人の頭からブッ掛けるように、である。二人はたちまち鎮火(ちんか)し、トラブルは終息した。
 トラブルから助かるには、最低限、早いタイミングの処理が必要になる・・という常識的なお話だ。だが、早いタイミングの処理だけで全(すべ)てがトラブルにならず助かるか? は別問題である。^^

    
                       完

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2020年3月 9日 (月)

助かるユーモア短編集 (48)物(もの)

 この世の三次元世界を偉(えら)いお方にでもなった気分で窺(うかが)えば、物(もの)の本当の姿が見えてくる。まず、物には生き物と、そうでない物がある・・ということだ。そうでない物とは生物の逆だから死物・・と呼べるだろう。事故でも物損(ぶっそん)で済めば助かるが、人損事故にでもなれば大ごとで、助かるものも助からない。物を支配するのが、他ならぬ私達、人間なのだから、これはもう、責任が重い・・と言わざるを得ない。そんなタワごとをブツブツ言ってないで、笑わせてくれっ! とダジャレで怒られる方もあろうが、それも一理(いちり)ある。^^
 とある家庭の一場面である。夏休みということもあり、朝から兄と妹が大層、賑(にぎ)やかに騒いでいる。
「お兄ちゃん! 私の小物入れ知らないっ?!」
「馬鹿野郎! そんな物、俺が知ってるかっ!」
「そんなことないわよっ! この前、いいの持ってるな、それ買ったのか? って訊(き)いてたじゃないっ!」
「…ああ、そんなこともあったか?」
「あったわよっ! 絶対、あった!!」
「…まあ、あったとしてだ。知らないものは知らないっ!」
「とかなんとか言って…」
「ば、馬鹿っ! あんな小物入れ、どうすんだよっ!」
「まあ、そう言われりゃ、そうだけど…」
「出物 腫(はれ)物、所(ところ)嫌わず・・って言うぞ。そのうち、スゥ~っと出てくるさ」
「あらっ! その言い方、怪(おか)しいわよっ! その場合の物はトイレのアレとか皮膚に出来るオデキでしょ?!」
「ああ、そうか…。まっ! 孰(いず)れにしろ、物は物だっ! ははは…」
 笑った瞬間、兄は机の上を見た。そこには、小物入れが、私はここにいますよっ! と、存在を主張するように置かれていた。
「ははは…なっ!!」
 兄は自慢げに机を指さし、妹に言った。だが、そのタイミングは悪かった。
「でも、なぜ、そんなところにあるのよっ!」
「んっ? さあ…」
 兄は言葉を失った。
 物はあった方が助かる場合と、なかった方が助かる場合がある・・という、なんとも物騒がせな話である。^^

                           完

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2020年3月 8日 (日)

助かるユーモア短編集 (47)死後

 お盆シーズンになったからという訳でもないが、なんとも気になるのが死後の世界である。死後が○○になるっ! と、はっきり分かっていれば、大いに助かるのは私だけではないだろう。^^ 死後がどうなるか分からないから怖(こわ)いのだが、一つ分かっているのは、死後が生まれる前へ戻(もど)る・・ということだろう。^^
 二人の老人が寂しげに、とある飲み屋で日本酒を飲みながら話している。
「まあ、一杯!」
「ああ、どうも…」
「この前まで隣(とな)りで飲んでましたが…」
「…ですなぁ~。なんとも寂しい限りです。ご返杯…」
「ああ、どうも…。だんだんと分からない世界が近づきますなぁ~」
「ああ、死後の世界ですな。怖いことです」
「ええ、この世で一番怖いのが死後です」
「うちのカミさんより怖いっ!」
「そうそう! カミさんは銀、死後は金!」
「怖さランキングですなっ!」
 二人は、しみじみと杯(さかずき)を飲み干した。
 この世に死後を超える恐怖はない・・という話だが、死後の恐怖が分からないから助かる・・とも言えるだろう。^^

                           完

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2020年3月 7日 (土)

助かるユーモア短編集 (46)病気

 なんといっても人を困らせる究極の妨害行為は病気である。先天性の寿命が後天性の病気によって変化するのは、なんとも嘆(なげ)かわしい事態だから、なんとかしたいっ! とは思うが、お医者でもなく医学の知識も乏(とぼ)しい私では、思うだけでどうしようもない。^^ だから、病気から全世界の人々が開放され、助かることを希(こいねが)うのみ・・などと偉(えら)そうに思う次第である。^^
 二人の男がとある病院の待合室で話し合っている。
「どこかお悪いんで?」
「いや、そうでもないんですが…。そう言われるあなたは?」
「私ですか? ははは…私もそんなところで」
「病気はいやですなっ!」
「そうそう! 特に金欠病!!」
「確かにっ! 実は…それ、なんです」
「ははは…私もですっ! 病気は病気でも金欠病! …余り、大きな声では言えませんが…」
「恋の病(やまい)と金欠病・・これは病院でも治(なお)せんでしょうな」
「確かに…。ただ病気は治せんでしょうが、ここには涼しさがあります」
「ははは…金欠病の者は、ここですか?」
「ははは…その病気は治ります、100%」
「ですなっ!」
 病は気から・・とも言うが、病気にはいろいろとあり、100%助かる病気でない病気もある・・という猛暑の馬鹿馬鹿しいお話である。^^

          
                  完

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2020年3月 6日 (金)

助かるユーモア短編集 (45)限界

 人は自分の限界を超えようとする。有り難いことにその限界には決まった到達点がなく、無限に続く・・という点だ。これは、限界を超えようとする人々にとっては助かる。いくらでも努力できるからだ。到達点があれば、それ以上が望めないため、ある意味で到達点がないことによって人々が助かる・・とも言える。ただし、大食い競争で限界を超えてギネス記録になっても、腹具合を悪くして病院に搬送された人が果たして限界を超えられたかどうか? は不確かだが…。^^
 暑い日が続く午後のとある公園である。二人の男が我慢するかのようにベンチに座り続けている。助かることは、ベンチが幸いにも木陰にあるということだ。
「暑いですなぁ~~!!」
「ええ、まあ…。でしたら、お宅(たく)も、なぜっ?!」
「いや、毎日お見かけするんで、私もそれを訊(たず)ねようと思っとったんですっ!」
「ははは…そうでしたか。でっ?」
「その訳ですかな? 訳は限界を超えよう! と頑張っとる訳です、実は…」
「いや、実は私も、です。ははは…」
「昨日(きのう)は2時間17分で立ちました」
「私は2時間35分です」
「ほう! なかなかやられますなっ!」
「ははは…お互いにっ!」
 二人は、その後も公園の木漏(こもれ)れ日(び)の下で頑張り続けた。だが、お互いを意識したためか、数時間後、二人の姿は病室へと移っていた。幸か不幸か二人の命に別状はなく助かった。
 限界も、助かる程度にしたいものだ・・という忠告めいたお話である。^^

          
                  完

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2020年3月 5日 (木)

助かるユーモア短編集 (44)変化

 変化・・氷が解(と)けて水に変化するように、この世では当然、起こり得(う)る現象である。大相撲の立ち合いで、『突き落としっ! …突き落としでホニャララの勝ちっ!!』と、場内アナウンスで流れる分かりやすい変化の一例もある。^^ ただ、以前からある、いいものや素晴らしいものは、解けずに氷のままであって欲しい…と望むのは私だけだろうか。それだけ世の中の変化が激しい今の時代・・とも言えるのである。しかし、変化したからといって必ずしもよくなるとは限らない。いや、返って悪くなる場合も多々(たた)あるのだ。長閑(のどか)でいい風情(ふぜい)で歩いていた道が車のラッシュで歩きにくくなったり、豊穣(ほうじょう)の実りを見せてくれた田畑が雑草で覆(おお)われたりする時代は、氷が解けて泥水になったような悪い変化だろう。^^
 とある役場の職員の会話である。
「君はいつも早く提出してくれるから助かるよっ!」
「いえ、それほどでも…」
 他の職員に抜きん出て、課長へ決裁書類を早々と提出した職員が、まんざらでもない、したり顔(がお)で、後頭部を掻(か)く。しかし、このしたり顔の変化が悪かった。
「と、言いたいがだっ! よく聞きなさいよっ!! 君の場合は間違いが多過ぎるっ! 結果、決裁がいつも一番、遅くなるのが玉(きず)に瑕(きず)なんだよな、実はこれが…」
「はあ…」
「ははは…だからね。遅くてもいいからコツコツと間違わないようにやりなさい・・ということだ」
「はあ…」
 職員は萎(な)えた蛞蝓(ナメクジ)のような姿で自分のデスクへUターンした。
 このように、変化したからといって、必ず結果が良くなって助かる・・ということではない。大相撲だって堂々と負けていただいて、変化がない方がいい。独り相撲の方には関係ない話だが…。^^

                            完

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2020年3月 4日 (水)

助かるユーモア短編集 (43)どうでもいい…

 物事には必要不可欠な、ソレはっ! …というような手が抜けないことと、深く考える必要がないどうでもいい…と思えることがある。同じ歯科医に関係したことでも、虫歯と八重歯とでは対応する考え方が変わってくる。虫歯は放っておけば、イタイ、イタイっ!! と苦しむことになるからどうでもいい…とは考えないだろうが、八重歯なら、「あらっ! そのままの方が可愛いわよっ!」「…そうお?」などと、そのままにしておいてもどうでもいい…と思える違いがある訳だ。
 とある一般家庭の夕食場面である。どういう訳か美味(うま)そうなスキ焼きの肉がいい具合に煮えて残っている。家族五人は満腹ぎみに食べた直後だから、誰も箸(はし)を伸ばさない。
「あらっ! 誰も食べないのっ!?」
 母親が父親と子供三人の顔を見回しながら訊(たず)ねた。鍋(なべ)が空(から)になれば、それはそれで母親としても後始末(あとしまつ)が出来て助かる訳だ。
「どうでもいい…が、残しておくのもな」
「ああ…」「うん」「そうね」
 長男、次男、長女も異口同音(いくどうおん)に肯定(こうてい)する。実は母親が訊ねた直後から、すでに四人はグツグツ…と美味そうに煮える食べどきの残り肉を狙(ねら)っていたのである。
「どれどれ、俺が…」
 父親の箸が肉へ伸びた瞬間だった。負けじっ! と子供三人の箸も同時にサッ! と肉をめざして伸びた。が、しかし、四人は肉に箸が届く直前で、またサッ! と箸を引っ込めた。
「まっ! どうでもいい…」
「そうだよっ! どうでもいい…」「どうでもいい…」「どうでもいい…」
「そうお? じゃあ、私が…」
 母親は何の躊躇(ちゅうちょ)もなく箸を伸ばして美味そうに煮えた肉を溶き卵につけて頬張った。
「ほほほ…これで片づくから助かるわっ!」
「…」「…」「…」「…」
 四人は煮えきらず、テンションを下げて食事を終えた。
 どうでもいい…内容は、なかなか侮(あなど)れないのだ。^^

                          完

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2020年3月 3日 (火)

助かるユーモア短編集 (42)空腹(くうふく)

 空腹(くうふく)・・これはもう、動物にとっては大変な事態である。この状態が続けば飢餓(きが)となるが、こんなときにフッ! と食べ物が現れたり食べられたりすれば、大層、助かる。こんなフッ! と助かる状況に至るのは、おそらく有り難い神様か仏様のお恵(めぐ)みに違いない。^^
 とある田舎にある町役場の生活環境課である。昼の三時過ぎ、疲れ果てたようにトボトボと犬山が帰庁した。
「どうしたんだっ? 偉く遅かったじゃないか…」
 同じ課の職員、白鷺(しらさぎ)が犬山に声をかけた。
「いや、どうもこうもない。行方不明になったニワトリを探してくれっ! という依頼があったから行ったまではいいが、あと一羽が見つからず、この時間だ…」
「どういうことだ?」
「どういうことも、こういうこともない。まあ、そういうことだっ! お蔭(かげ)で空腹を通り越して、歩く力もない…」
「ははは…。そりゃ、難儀(なんぎ)だったなっ! で、ニワトリは何羽だったんだっ?」
「16羽!」
「ニワトリだけに2[に]×8[わ]=16羽ってかっ!?」
「馬鹿なダジャレをっ! それより、なにか食べるものはないか!」
「食堂へ行きゃいいだろうが?」
「そんな力は、もうない…」
「ははは…大げさな。遅かったから店屋物の天丼、注文しといたぞっ、安心しろっ! もう来る頃だ…」
「ぅぅぅ…助かるっ! 持つべきは食い友(とも)だなっ!」
 犬山は思わすぅぅぅ…と涙しながら合掌(がっしょう)して白鷺を拝(おが)んだ。
「ははは…食い友かっ、それはいいっ!」
 白鷺は国宝の城のように優雅(ゆうが)に笑いながら返した。
 空腹で助かる状況に至れば、思わず合掌して拝むようだ。^^

        
                  完

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2020年3月 2日 (月)

助かるユーモア短編集 (41)進歩

 世の中が便利や快適になり、暮らし向きがよくなるだけが進歩ではない。私達はそれを進歩・・と呼んでいるが、メリット[利益]がある反面(はんめん)、デメリット[不利益]なマイナス効果も、その裏側には潜(ひそ)んでいる。過去のよかった! と思い出す時代を紐解(ひもと)けば、極端な進歩はなかったものの、長閑(のどか)で味わい深い、助かる旨味(うまみ)も多々、存在していたのである。
 とある会社ビルのオフィスである。デスクに座った課長と社員が話をしている。
「君の仕事は、まったく進歩が見えんなっ! いつも二日は遅れとるじゃないかっ!」
「はあ、どうもすいません…。これでも一生懸命、やってるんですが…」
「馬鹿を言っちゃいかんっ! 誰だって一生懸命、やっとるんだっ!」
「はあ、どうも…」
 社員は課長の城跡(しろあと)のような頭を見ながら、『あんたの頭の毛も進歩が見られんなぁ~』と冷(さ)めて思いながら謝(あやま)った。
「まあ、いい…。少し休暇を減らすとかして、進歩しなさいよ…」
「はい…」
 課長に窘(たしな)められた社員は、『毛生え薬を変えるとか植毛するとかして、あんたも進歩しなさいよ…』と、また思ったが、言える訳がなく、思うに留(とど)めた。
 進歩して助かる存在になるためには、なかなか努力がいるようだ。^^

        
                  完

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2020年3月 1日 (日)

助かるユーモア短編集 (40)効果的

 同じ内容を実行したとしても、効果的に行うのと非効果的に行うのとでは、実行後の出来ばえや結果に大きな差を生じる。要は、その後が快適になるか、そうならないか・という差である。お買い物を母親に頼まれた子供が、買ったお釣りでアイスクリームをせしめよう…という発想が効果的なのか? は、よく分からない。^^
 ようやく厳(きび)しい炎天下の陽射しが消えた夏の夕方、ご隠居の恭之介とその息子の恭一が居間で話をしている。しばらく休めていなかったこともあり、恭一にとってはなんとも有り難い夏季休暇だ。噎(む)せ返るような暑さだが、少し風が出たのか、庭先に吊るされた風鈴がチリ~~ン! となんとも涼やかな音を奏(かな)でる。
「さて! ひとっ風呂(ぷろ)浴びるかっ! あっ! お父さん、いらしたんですかっ…}
「なんだっ! わしが夕涼みをしちゃいかんのかっ!!」
「いや、そんなことは…」
「それよりお前、間違っとるぞっ!」
「なにが、ですっ?」
「なにがも、蟹(かに)がも、ないっ!! 身体(からだ)は十分、冷やしたのかっ!」
 ダジャレを上手(うま)いっ! とは思ったが、恭一としてはそんな悠長(ゆうちょう)に感心している場合ではない。
「いいえ、暑い書斎から出てきたとこですから…」
「だから、それが間違っとると言うんだっ!」
 恭一は恭之介の言う意味が分からず、首を傾(かし)げた。
「間違ってますか?」
「ああ、そうだ。身体を冷やしてない状態で風呂に入りゃ、どうなる?」
「いえ、別にどうもなりませんが…。いい気分です」
「馬鹿もんっ!! 身体が熱張っとるんだぞっ! また、汗が噴き出すだろうがっ!!」
「あっ! そういやっ、たぶん…」
「たぶんも豚(ぶた)もないっ!!」
 ふたたび、上手(うま)いっ! とは思ったが、恭一としてはそんな悠長に感心している場合ではない。「はあ…」 
「十分、冷やして入る。…これが効果的な風呂の入り方だ。第一、着替えた下着が汗ばまんから助かる。分かったかっ!!」
「は、はいっ! 分かりました…」
 ちっとも分かっていなかったが、恭一は取りあえず逃げの一手を打った。
「前の洗い場で水浴びして十分冷やしてからな。それが効果的だっ!」
「はいっ!」
「分かりゃいいんだ…」
 恭之介はようやく静かになったが、恭之介の最大の誤算は、恭一に説教したばっかりに効果的な夕食前の冷酒を飲み損(そこ)ねたことだった。^^

 ※ 風景シリーズに登場の湧水家(わきみずけ)のお二人にスピン・オフ出演をしていただきました。^^

                          完

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