« 楽しいユーモア短編集 (62)天気 | トップページ | 楽しいユーモア短編集 (64)風 »

2020年7月 2日 (木)

楽しいユーモア短編集 (63)間違い

 間違いに気づけば、その後の展開が修正され、物事がスンナリと捗(はかど)る。捗れば、ルンルン気分で楽しくなる。逆に、いつまでも間違いに気づかなければ、結果は悪い方向へと進み、ポツリ、ポツリからザザァーと雨模様になる。間違いに気づくか気づかないかは本人の程度差によるが、もちろん、早く間違いに気づいた方がいいに決まっている。誰しも結果がいい楽しい方を望むからだ。^^
 とある中学入試会場の教室である。
「はいっ! それでは…」
 試験官がマイクに向かって告げると、教室内に詰めかけた多くの受験生達は一斉(いっせい)に試験用紙に目を通し始めた。
『…あれっ! 問題が違うっ!』
 受験生の一人、疎居(うとい)は試験用紙を見た瞬間、自分の受験科目でないことに気づいた。
「すみません!! 科目が違うんですが…」
 大きな声で叫んだ疎居の席に受験生達の視線が一斉に走った。
「どういうこと? …」
 試験官は座っていた教壇の椅子から立ち上がり、疎居の席へと近づいた。
「何が違うんだい? 皆(みんな)と同じ試験用紙じゃないか…」
 試験官は配布(はいふ)した試験用紙を確認し、訝(いぶか)しげに言った。
「あっ!!」
 そのとき、疎居が叫んだ。その声は大きく、教室全体に谺(こだま)した。
「どうしたの?」
「す、すみませんっ! 間違いましたっ!! 僕、隣(となり)の教室ですっ!!」
 疎居は疑問が解決し、楽しい気分で言った。教室内は一瞬にして爆笑の渦(うず)となった。
「ははは…、今からだと十分、間に合うから、早く行きなさい」
 試験官は笑いながら告げた。
 間違いは早く気づけば、楽しい気分になる・・という
当たり前の馬鹿馬鹿しいお話である。^^

                            完

|

« 楽しいユーモア短編集 (62)天気 | トップページ | 楽しいユーモア短編集 (64)風 »