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2020年7月 3日 (金)

楽しいユーモア短編集 (64)風

 ほどよく晴れた日、風がそよそよと頬(ほお)を撫(な)でれば、なんとなくウキウキした楽しい気分になる。ところが、その風も暴風雨のように強く吹けば、家屋に甚大(じんだい)な被害を齎(もたら)し、迷惑な存在へと様変(さまが)わりする。そうなれば、楽しい気分相場の話ではない。さらに、どことなくスゥ~っと忍び込む、隙間(すきま)風という油断を見据(みす)えた見えない世間の悪い風もあり、注意が必要だ。これは超有名な演歌曲の歌詞にも登場するから、皆さん、よくご存知だろう。^^
 とある舗道である。二人のサラリーマンが歩きながら話をしている。
「どうもここ最近、風当たりが強くないかっ?」
「いや、それは俺も感じているんだ。他の課の連中から聞いたんだが、どうもうちの会社、調子よくないそうだぜ」
「それと、課長の風当たりが強くなったのと、どういう関係があるんだ?」
「だからさぁ~。課長も上から強い風に吹かれたんじゃねえのっ!」
「ああ、そういうことか…。で、今後の風はっ!?」
「ははは…俺に訊(き)かれてもなぁ~」
 そのとき、一陣(いちじん)の風が舞った。
「寒いと思ったら、もう木枯らしか…」
「そろそろ、コートを出してもらわんとな…」
「新婚さんは、いいよなっ! うちなんか、かかあに睨(にら)まれ、まるで冷凍庫だっ! お前ん家(ち)も孰(いず)れは、ははは…」
「そうなるっ? くわばら、くわばらっ!」
 楽しい気分で冗談を話し合いながら、二人は駅構内へと消えていった。
 そうそう! 他にも楽しい風、悲しい風、辛(つら)い風…と、世の中の風には各種、揃(そろ)っている。^^

                            完

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